体内に入ったマイクロカプセルがさまざまな病気の原因に!?
これらの微小プラスチックは環境に放出され、生体内にも取り込まれながら地球全体に広がる。その影響は土壌、河川、海洋、大気そして人間を含むあらゆる生命体に及ぶ。例えば洗剤や香料に使われたマイクロカプセルは洗濯のたびに下水に放出され、海に流れ出る。人の肺にまで入り込み、喘息、気管支炎、肺がんなどを引き起こす場合もある。
EUではすでに規制の話が出ている。EU専門機関の欧州化学物質庁(ECGA)は2019年1月、欧州域内における「意図的に製品に入れられたマイクロプラスチック(Intentionally added microplastics)」の規制に関する提案を欧州委員会に提出した。
その規制の中にはマイクロカプセルが含まれている。洗剤などに含まれる香りマイクロカプセルについても、5年の猶予は与えているものの「禁止すべき」という姿勢を打ち出している。
この数年、洗剤などに含まれる香り成分による人体への被害を訴え、関係政府機関や業界に規制を働きかけている
日本消費者連盟は、こうしたEUの動きにも触れながらこう訴えている。
「世界のマイクロカプセル市場は、医薬品や農薬など広い分野に及び、家庭用品への使用も拡大しています。医薬品などやむを得ない場合を除き、家庭用品へのマイクロカプセル使用は、土壌や海、空気、人体のプラスチック汚染をさらに深刻化する恐れがあることから、即刻禁止すべきです」
同連盟は5月22日に、衆議院会館会議室で「柔軟剤・香りマイクロカプセル」についてのシンポジウムを開催。一般市民をはじめ、国会議員・地方議員に向けて「この問題に注目してほしい」と呼びかけた。環境汚染だけでなく、人体への大きな影響が懸念されるこのマイクロカプセル問題。早急な対策が求められている。
<文/大野和興>