野党の対案に安倍総理はどう答えた? 6・19党首討論、年金問題への総理答弁を信号無視話法分析

「対案」に対峙せず論点をすり替え続ける安倍総理

志位和夫委員長対案2 安倍総理:その上において、共産党の主張はマクロ経済スライドを廃止して、えー、将来の受給者の、えー、これは、給付、その上でなおかつ、将来の受給者の給付が減らないようにする上においては、これは7兆円の財源が必要で、えー、ございます。皆さんはこの財源がある。こうおっしゃってますが、7兆円というのは巨大な財源であります。この巨大な財源があるというのは、これは、まあ、かつて聞いたことがあるような話でございますが、それは、そう簡単には出てこない、えー、わけでございます(赤信号)  いずれに致しましても、私たちはですね、このマクロ経済スライドという形におい、おいてですね、おいて、今の、あのー、今の形でですね、マクロ経済スライドの形において、それを発動させていくことによって、今の、今の、受給者と将来の受給者のバランスを図っていく。あるいは、将来の、給付と需給のバラ・・、えー、給付と負担のバランスを図っていきたいとこう考えていますが、(赤信号)  今、志位、志位委員がおっしゃったご提案についてはですね、これは、まずはちゃんとですね検証しなければ、その数字は明らかではないわけでありますし、1兆数千億円で賄えるものではなくて、7兆円と全く額が違うわけでありますから、えー、いずれに致しましても、マクロ経済スライドをですね、止めてしまうという考え方は、これはもう一度申し上げますが、これは、馬鹿げた案だと思います。(青信号)   1段落目と2段落目はそれぞれ論点をすり替えており、これらも(赤信号)1段落目 質問:高額所得者優遇の保険料を正すべきでは ↓すり替え 回答:財源の有無 2段落目 質問:高額所得者優遇の保険料を正すべきでは ↓すり替え 回答:マクロ経済スライドの説明  3段落目は、「高額所得者優遇の保険料を正すべきでは」という質問に正面から答えたわけではないが、マクロ経済スライドを止めるべきという意見に対しては「馬鹿げた案」と一応は反応しているため、青信号とした。  野党は具体的な対案を提案したが、結局、安倍総理は論点をずらし続け、最後の最後で「馬鹿げた案」と一蹴するだけの結果に終わっている。  以下、この直後の志位委員長のコメント。 志位委員長:私はねー、減らない年金にするための具体的提案をやった。それに対するお答えは一切ありません。あの、7兆円と言うのはね、私たちの暮らしを応援する政策のパッケージでやる財源の問題なんです。で、この問題ねー、あのー、マクロ経済スライドをやるってことはね、今の年金の水準を6割から5割に現役世代との、あのー、所得代替率を減らすわけでしょう。これ、減ってくんですよ。私はねー、今政治に求められているのは、貧しい年金の現状を直視して、安心な年金に変えるための責任を果たすことだと。報告書を隠蔽することじゃないということを申し上げて終わります。

4人目の質問者、維新・片山虎之助共同代表の奇妙な発言

 年金問題について具体的な対案を述べた共産党・志位委員長。この直後、野党側のラストバッター(4人目)として臨んだ日本維新の会・片山虎之助 共同代表が討論の最後に述べた奇妙な言葉をあわせて紹介しておきたい。 「野党は批判するだけじゃダメなんですよ。具体的な提案をしないと」  これまでの議論を全く聞いていなかったか、意図的に他の野党を貶めようとしたか、いずれかとしか考えられない。形式上、維新は野党ということになっているが、実態は限りなく与党の立場に近いということを改めて浮き彫りにしたと言える。  片山氏のトンチンカンな発言に怒号と言って差し支えないほどのどよめきが起きる中、約1年ぶりの党首討論は終了した。(下記動画の6分10秒〜参照) <文・図版・動画作成/犬飼淳 TwitterID/@jun21101016> いぬかいじゅん●サラリーマンとして勤務する傍ら、自身のnoteで政治に関するさまざまな論考を発表。党首討論での安倍首相の答弁を色付きでわかりやすく分析した「信号無視話法」などがSNSで話題に。最近は「赤黄青で国会ウォッチ」と題して、Youtube動画で国会答弁の視覚化に取り組む。  犬飼淳氏の(note)では数多くの答弁を「信号無視話法」などを駆使して視覚化している。また、同様にYouTubeチャンネル(日本語版英語版)でも国会答弁の視覚化を行い、全世界に向けて発信している
TwitterID/@jun21101016 いぬかいじゅん●サラリーマンとして勤務する傍ら、自身のnoteで政治に関するさまざまな論考を発表。党首討論での安倍首相の答弁を色付きでわかりやすく分析した「信号無視話法」などがSNSで話題に。noteのサークルでは読者からのフィードバックや分析のリクエストを受け付け、読者との交流を図っている。また、日英仏3ヶ国語のYouTubeチャンネル(日本語版/ 英語版/ 仏語版)で国会答弁の視覚化を全世界に発信している。
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