激安「借地権付き物件」で一石二鳥の不動産投資。その手法と注意点

 物件価格の高騰に加え、金融機関による融資の引き締め……。不動産投資に対する向かい風が強くなった昨今にあっても、運用益と売却益の両取りを狙えるというその手法の正体とは?

激安[借地権付き物件]超入門

通常の半額程度で購入可。圧倒的利回りと売却益が狙える!

河田氏が品川区内に所有する物件の建て替え前。武蔵小山駅と戸越銀座駅から徒歩10分圏内の好立地にあり、’15年6月に建て替えした物件には翌月に21㎡のワンルーム9室がすべて埋まり、現在まで満室経営を継続

「多くの人が敬遠しがちな『借地権付き物件』なら、所有権購入と比較すると半額程度で買えることもあります」と明かすのは外資系保険会社勤務の傍ら不動産投資を始め、現在は資産7億円を超える大家となった河田康則氏。 「『借地権』とは、他人が所有している土地に建物を建てる、または所有することを目的に借りる際に生じる権利です。借地権を取得すると、『底地権』を持つ地主に地代を払う必要がありますが、その土地に立つ物件から賃料収入を得ることができます。借地権付き物件を買う最大のメリットは、不動産の取得費用を安く抑えられる点。たとえば、所有権を買えば5000万円の不動産でも、借地権ならば2000万~3000万円ほどで取得できるケースもあります」  借地権付き物件であっても得られる賃料自体に影響はないため、地代を支払っても十分なリターンが見込めるという。 「借地権を取得しても登記費用はかかりませんし、固定資産税などの税負担もない。私が手がけた例ですと、借地権を約4500万円で取得し、アパートの建築費約6000万円、そのほか解体費など約500万円をかけた品川区の物件から、毎月30万円弱の収入を得ています。ローン返済など諸費用を差し引いたあとのキャッシュフローで利回りは9%台です」

[借地権付き物件投資]の仕組み~借地権を購入することで借地権者となり、地代を対価にその土地を利用する権利を得る。都会になるほど借地権の割合が高くなる傾向にある

 借地権を取得した土地を更地にして新築を建てた河田氏のような例だけでなく、より少ない元手で借地権付きの物件に投資する方法もある。「借地権付きの物件の流通は地域によっても大きな差があります」と語るのは東京の西部を中心とした地域で不動産事業を手がけるTGホームの野田晴夫氏。 「借地権付き物件の地主には実はお寺さんなど宗教法人が少なくないので、宗教法人が多くの土地を所有している一帯では借地権付き物件が数多く出回ります。たとえば、東京の西部には借地権付きで売買されている区分マンションがとても多い。そういった借地権付き区分物件でしたら、1000万円以下で売られていることもあります。20~30年といった期限があったり、建物の見栄えがよくないことも多いですが、’92年以前の旧法借地権が適用される物件は借地権者の権利が強く、金銭的なうまみのある取引ができます」

融資の引きにくさには事前の対策が不可欠

 魅力的なメリットが期待できる借地権付き物件への投資だが、「安く買えるという利点がある一方で、融資の引きにくさなど大きなデメリットの存在も忘れてはいけません」と前出の河田氏は注意を促す。 「金融機関によっては、借地権を担保として評価しないところや、トラブルの可能性が高い案件として融資を躊躇するところも珍しくありません。融資を受けて借地権を取得したいのであれば、借地権の扱いに慣れている金融機関や担当者を地道に探していくしかない。あとは不動産コミュニティで紹介してもらえることもあります」  また、購入前には現在の入居者の状況を確認する必要もある。 「更地にして建て替えることになれば、その物件に住んでいる人たちの引っ越し費用などを負担しなければなりません。特に留意すべきは店舗で、住居目的に比べて、商業利用しているテナントの立ち退きに際しての補償金は桁違いに高額。事前に入居者の状況や意向は必ず把握しておくべきです」  加えて、借地権付き物件ならではの留意すべき点もある。 「購入を決める前に、その土地の地主さんについて必ず知っておく必要があります。取得後も、建て替えや売却の際には地主の承諾を得なくてはなりません。そのため地主が個人なのか法人なのか、どういうポリシーで土地を所有しているのかを知っておかないと大きなリスクを抱えてしまいます。購入前の挨拶や交渉の段階で地主さんとうまく関係性が築けないと感じた場合は、取引を踏みとどまったほうがいいかもしれません」
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借地権付き物件はどう「出口戦略」を考えればいい?
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