名刺の紙は重いほうがいい? 潜在意識に働きかける戦略的ビジネスデザイン

 筆者は数年前に『名刺デザイン心理』というセミナーを数か月間、数十人の方に向けて実施していた。これは、名刺のデザインをデザイン屋さんが作った「かっこいい」「かわいい」名刺から、本来の目的の「覚えてもらう名刺」にするための手法を学び、デザインしてもらうセミナーだ。

見た目だけでなく、五感にアプローチ

photo via Pexels

 卒業された方々と会うと、「初対面でも話題が生まれるようになった!」「人脈が増えた」などの嬉しい声をいただいている。 「デザイン」と言うと、「何を書くのか?」「色はどうするのか?」という視覚的なものに意識が行くと思うが、筆者のセミナーでは「五感にアプローチする名刺」というコンセプトを取っている。視覚・聴覚・味覚・嗅覚・触覚のできるだけ多くにアプローチして、自分のことを覚えてもらったり、自分の価値を高める方法について学んでいただくのだ。  この中でも、名刺デザインをするときに現実的なものが、視覚・嗅覚・触覚だ。「名刺クッキー」という食べれる名刺も世の中に存在していたが、食べてしまうと忘れられる可能性があるので、今回は対象外にした(ドラえもんの秘密道具「あんきぱん」と同じ効果があればいいのだが)。  記憶に刷り込むなら「嗅覚」、自分の価値を高めるなら「触覚」、信頼関係を築くなら「視覚」と、3つの感覚が得意なことへ、効果的に心理学を使ってアプローチできる名刺を作っていただいた。名刺をデザインというよりも、相手の感覚をデザインしているというほうが正しいかもしれない。

紙が薄ければ、価値も薄れる

 今回は、この中から、あるこだわりを持つだけで、自分の価値を高めることができる方法について解説していく。  それが、触覚だ。  みなさんは、名刺の紙をどういう基準で選んでいるだろうか。紙の専門知識がなければ、多くの人が、「安いから」「みんなが使ってるから」で選んでいるはずだ。  相手に渡す、営業道具なのに、すごく自分主体な判断方法じゃないだろうか。名刺は誰もが受け取ってくれる、最強の営業ツールにも関わらず、そこにお金をかけないことは、すごくもったいない。  これまで、たくさんの人と名刺交換をさせてもらってきて、多くの人が薄っぺらい紙を使っている印象を受ける。実は「紙の薄さが価値を薄くしている」のだ。
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重さで価値判断が変わってくる
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