名刺の紙は重いほうがいい? 潜在意識に働きかける戦略的ビジネスデザイン

紙の重さが価値に直結

 社会心理学の実験で、クリップボードの重さによって、そこに張ってある履歴書の自分物の評価がどう変わるかという実験が行われた。  道行く人に重いクリップボードまたは、軽いクリップボードをランダムに渡して、クリップボードに張った履歴書の人の評価をしてもらうというものだ。  結果的に、内容が同じにも関わらず、重たいクリップボードをもらった人のほうが、履歴書の人物を高く評価した。人は、無意識に服装で相手の価値や性格を予想するように、紙の重さで相手の価値も予想してしまっているのだ。これが、名刺交換のときに発生している。  これは、日常生活でも頻繁に起きていることだ。ポストの中に薄い紙のチラシが入っていると、サッと目を通して捨ててしまうかもしれない。しかし、分厚いチラシだと、「なんだろう?」と少し長く確認をしてしまわないだろうか。  普段、薄い名刺を配ってしまっている人は、試しに、100枚だけでも分厚い名刺を作ってみて、人と会うときに渡してみてほしい。そうすると、相手の態度がこれまでと変わるはずだ。

名刺を数多く配っても効果は弱い

 また、名刺のコストを抑えて薄い名刺を持っている人の多くは、名刺を数多く配ることを目的としていることが多い。人間の脳には記憶できるキャパがあるので、よっぽどあなたが個性的でない限りは、数を配ったところで、相手の記憶には残らなくなってしまう。「下手な鉄砲数撃っても当たらぬ」だ。  それよりは、ビジネスが一緒にできそうな人や考え方が合いそうな人、4人くらいとじっくり会話をしてみるほうがよっぽど効果的だ。それを意図的にするためにも、安い紙で名刺を作るべきではない。  ちなみに、分厚い名刺がいいからと言って、非常識なくらい分厚い名刺にすると違和感があるので、名刺印刷会社で取り扱っている紙の中で自分が気に入る分厚い紙を選択していただきたい。会社支給の名刺だと、わざわざ、自分でラミネート加工をする外資系保険営業の方もいる。  ぜひ、自分の名刺をReデザインして、自分の価値を高める武器をして活用していただきたい。 【参考文献】 『影響力の武器』ロバート・B・チャルディーニ 『「重い」と思うことは印象評価を変えるのか -印象評価における重量刺激の主観量と物理量の影響-』阿部慶賀 【山本マサヤ】 心理戦略コンサルタント。MENSA会員。心理学を使って「人・企業の可能性を広げる」ためのコンサルティングやセミナーを各所で開催。これまで数百人に対して仕事やプライベートで使える心理学のテクニックについてレクチャーしてきた。また、メンタリズムという心理学とマジックを融合した心理誘導や読心術のエンターテインメントショーも行う。クラウドワークスの「トップランナー100人」、Amebaが認定する芸能人・著名インフルエンサー100人に選出。●公式ホームページ ●Twitter:@3m_masaya ●Instagram:@masaya_mentalist
心理戦略コンサルタント。著書に『トップ2%の天才が使っている「人を操る」最強の心理術』がある。MENSA会員。心理学を使って「人・企業の可能性を広げる」ためのコンサルティングやセミナーを各所で開催中。
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