モラ夫たちは、妻が応じないと、長時間説教し、脅迫し、或いは、直接的間接的暴力で妻を従わせ、性交渉を行う。避妊をお願いしても、応じない夫も多い。その結果、妻は中絶を強いられる。中絶回数が10回以上に及ぶ女性もいる。
夫がモラ夫の場合、寝ている間に始まっていることも多い。パジャマのズボンと下着を脱がされ、終わって、下半身裸のまま放置、寝てしまう夫もいる。
寝込みを襲われるのを防ぐため、パッツンパッツンの、容易に脱がせないキツいジーパンをはいて、居間で寝る妻もいる。それでも時折、襲われる。これらは、モラ夫による性加害と言っていいだろう。
他方、あるモラ夫は、「俺の妻はマグロだ」と友人に嘆いていた。この夫も、妻を怒鳴って従わせてきたハードモラ夫で、妻に聞くと、怖くて、拒否などできなかったという。
以上、モラ夫たちは、妻の気持ちや心情に配慮せず、自らの「性欲処理」のため、妻の身体を利用していることが分かる。モラ夫にとって、妻とは、俺様の世話もしてくれる、性欲処理のための俺様専用女性なのだ。
日本の夫婦が諸外国と比べ、断トツにセックスレスで、性交渉の満足度が低いのは、日本男性のモラ度が高く、性行動でも自己中心的だからではないか。
最近、不同意性交罪が提唱されている。これに対し、「冤罪」が増えると主張する一部「識者」や弁護士もいる。どんな冤罪が考えられるだろうか。弁護士ドットコムには、「冤罪」にもかかわらず、警察に呼び出されたとする相談が載っていた。
この相談は、知り合いの女性とデートをして、24時頃、自宅に連れ帰り、性交した事案である。女性は、翌朝いきなり家を飛び出して、交番に駆け込み、襲われたと訴えたという。
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参考:弁護士ドットコム)
翌朝いきなり飛び出して、交番に駆け込んだ点からすると、「不同意性交」であろうことは想像に難くない。他方、この男性からすれば、自宅へお持ち帰りした時点で、「同意」があったとみなして当然ということなのだろう。同意要件と冤罪との関係については、伊藤和子氏の論考が参考になる。
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参考リンク:Yahoo個人)
ところで、昭和前半、ラブホテルは「連れ込み宿」と呼ばれていた。今でも、自宅やラブホテルに連れ込んで、「不同意性交」に及ぶ事案は数多いのだろう。
モラ夫たちは、説教し、恫喝し、或いは、直接間接の暴力で妻を従わせ、不同意性交に及んでいる。知り合いの女性を自宅やラブホテルに連れ込み不同意性交に及ぶ男性も少なくない。モラ夫やモラ文化擁護者たちが不同意性交罪に反対する背景には、これらの事象がある。
日本の妻が、モラ夫に強制される性交渉を嫌うのは当然だろう。そして、女性たちは、昔ほど、「我慢」しなくなった。これが、セックスレス夫婦が急増した真相だろう。その結果、日本では、男女ともに性交渉の満足度が低い。上記のDurex社の調査によると、性交渉について、満足している者の割合は、ベルギー57%に対して、日本は24%に過ぎない。
つまり70数パーセントが性交渉に満足せず、中高年の約7割がセックスレスなのである。これは偶然の一致などではない。
モラ夫たちの自己中心的行動は、性生活においても、日本の結婚を不幸にしている。そして、セックスレスが蔓延し、生涯未婚率、出生率が下がり、少子高齢化が進む。その原因、責任は、モラ文化、モラ夫たちにある。
【大貫憲介】
弁護士、東京第二弁護士会所属。92年、さつき法律事務所を設立。離婚、相続、ハーグ条約、入管/ビザ、外国人案件等などを主に扱う。著書に『
入管実務マニュアル』(現代人文社)、『
国際結婚マニュアルQ&A』(海風書房)、『
アフガニスタンから来たモハメッド君のおはなし~モハメッド君を助けよう~』(つげ書房)。ツイッター(
@SatsukiLaw)にてモラ夫の実態を公開中