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前回から、日本でお金を貯め、現在はベトナムでセミリタイア生活を送る宮内健吾(仮名)にご登場いただいている。宮内がベトナムを選んだ理由は、ベトナムが成長しているからだ。その動かぬ証拠が「銀行の利子」である。
”「ベトナムドンの普通預金は金利3%程度だが、1年定期はなんと13%なのだ」”
(『
臆病者のための億万長者入門』橘玲・文藝春秋)
同書の刊行は2012年だが、今も定期の利子は8%台を維持しているという。
そんな銀行口座の開き方を教えてもらった。
「ブログに書いたままですけど、一か月とかの滞在ビザをとります。それでパスポート持参で銀行に行ったら英語がわかる人がいますので、住所はホテルの住所を言って、電話番号はSIMカードを買ったときにもらえるベトナムの番号があればそれでいいので、あとはあちらが勝手に入力してくれます。誰でもできますよ。それで利率が現在8.5%ですね」
それだけの利率を出せるのは、経済が成長を続けて、それ以上の金利がかかってもお金を借りてくれる人がいるからだ。日本だと住宅ローンのフラット35で0.8%とかがあるが、「ベトナムの住宅ローンは一番安くて12%とかですよ。横断幕で、“なんと10%!”みたいな感じで大々的に謳っていますからね。それも小さく“最初の3か月だけ”とか書き加えていますからね。たぶんそれ以降は13%とかになるんでしょうね」。
これだけ金利が高いと、基準も厳しくなるのは当然だろう。ベトナムには、筆者のようなフリーランスにもカネを貸してくれる優しい銀行はあるのだろうか。
「そこはわかりません。私が借りたことがないですから。でもね、よく電信柱とかに広告が貼ってありますよ。“今日貸します。すぐ用立てます”みたいな。金利何%か書いていませんから、めっちゃ怖いですよ。たぶん、日本のトイチよりひどいんじゃないですかね」
セミリタイア投資家としての宮内がそれでもベトナムの成長を確信しているのは、インフラが整っているからという側面が大きい。これは近隣諸国と比較すると一目瞭然である。つい最近、宮内はミャンマーに行ってきたばかりだという。
「やっぱり、インフラの整い方が全然違います。一日の半分は停電していますからね。田舎にいったら、もう電気がついていればラッキーみたいな感覚ですよ。人間性はASEANナンバー1じゃないかというくらいいいですけどね。ベトナムのインフラも交通関連などで課題があり、タイやマレーシアなどよりは劣りますが、世間でASEAN有望株とされるミャンマーと比べるとその際は歴然としています。それもあり、金利は8%前後で同じですが経済成長という観点から考えるとちょっと苦しいかなというのが率直な印象です」
ちなみに、宮内は不動産には手を出していない。「銀行の金利より、不動産利回りのほうが安いからだ」という。
「投資の基本ですけどね。全財産をつぎ込めば、買えないことはないですし、今後不動産自体が値上がりする可能性もありますけどね。でもそれなら、不動産会社の株を買えばいいだけの話ですから」
ホーチミン市において、家賃は日本円にして最低で6500円くらいからあるという。
「もっとも、それは本当の長屋ですから、日本人には住めないと思います。日本のワンルームレベルで、二万円くらいですかね。ベトナム人は、そういうところに何人かでルームシェアしていますけど」(宮内)