子どもの熱中症、今年はすでに搬送事例も。子どもを守るポイントを専門家が解説

本田由佳氏

 楽天は6月5日、「専門家が教える!子どもを守る  夏の紫外線&熱中症対策講座」を都内で開催した。  毎年夏になると、子どもの熱中症被害が問題になる。今年の5月下旬には、新潟県長岡市の小学校で、運動会の練習をしていた児童計26人が、熱中症とみられる症状を訴えて病院に搬送されている。  これから本格的に夏を迎えるにあたり、どのようにして子どもを熱中症や紫外線から守れるのか。そのアプローチを2人の講師が説明した。  講師は、骨と健康情報の専門家集団「Team BONE」に所属する、本田由佳氏と坂本優子氏の2人。生徒として、就学前の親子4組8人が参加した。  本イベントは、ママ・パパを対象とした楽天市場の会員プログラム「楽天ママ割」が主催。第3回となる今回は、親として気になる子どもの熱中症、紫外線対策を特集した。

気温が急に上がった日には、脱水に気をつける

 熱中症の原因と対策については、慶應義塾大学SFC研究所上席所員(健康情報コンソーシアムメンバー)の本田氏が説明した。  熱中症とは、「高温多湿な環境で、体内の水分や塩分のバランスが崩れるなどし、体内の調整機能が破綻した状態」を指す。  熱中症の重症度にはI度~III度まで3段階あり、数字が大きくなるにつれて重症レベルも増す。 I度:めまいや失神、筋肉の硬直、大量の発汗 II度:頭痛や気分の不快、吐き気、嘔吐など III度:意識障害、痙攣、手足の運動障害など (厚生労働省:「熱中症を防ごう」より)  熱中症を防ぐ重要なポイントは、「脱水」を防ぐこと。水分は体温調節のほか、老廃物の排泄や体のさまざまな機能維持に重要な役割を果たす。酸素と並んで人体には必要不可欠なものだ。  特に小さい子どもは喉の渇きを上手に伝えられないことがあり、脱水が進んでしまうリスクがある。周りの大人は、子どもの様子を注意深く見る必要がある。 「急に気温が上がった日、激しい運動をしたときなどは特に注意が必要です。体重あたりの水分量は成人男性が60%に対し、新生児が80%、乳児が70%、幼児が65%と、水分の割合が高い。つまり、それだけ脱水のリスクも上がります」 と本田氏は強調した。  いつもよりも子どもがぐずる、呼びかけに反応しないといった場合には、熱中症が疑われる。このようなときは、速やかに医療機関を受診する必要がある。  脱水を補うには、「真水よりも経口補水液が優れている」と本田氏は語る。経口補水液にはミネラルなどの電解質を含んでいるので、体内への吸収がスムーズなためだ。  こまめな水分補給だけはなく、しっかりと睡眠をとり体調を整えることも熱中症予防には大切だ。

熱中症のリスクは、気温だけでは測れない

 熱中症と聞くと、強い日差しの日こそ危険というイメージを持っていないだろうか。  イベントが開催された6月5日の会場付近は曇り空で、正午時点の気温は24.4℃だった。蒸し暑さは感じたものの、日差しがないだけ過ごしやすく感じた。 「今日は熱中症に気をつけないといけない日だと思いますか?」 と本田氏が子どもたちに質問すると、子どもを含めて会場にいるほとんどの人が「いいえ」と答えた。  しかし、熱中症に気をつけるべきかどうかは気温だけでなく、「暑さ指数」(WBGT)から判断することが大切だ。気温、湿度、輻射熱から算出した指標のことで、環境省が提供する「熱中症予防情報サイト」で確認できる。  ちなみに、6月5日の暑さ指数は「23.7℃」。そんなに暑く感じられなくても、熱中症に注意が必要な日だった。強い日差しがなくても、熱中症には気をつける必要があるのだ。  この結果を聞いて、参加した親子やイベント運営スタッフも驚きの表情を浮かべていた。
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日光を浴びるのは30分以内にした方がいい
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