維新・松井代表がビザなし交流訪問団に非公開で謝罪。その内容は「国民に知らせる必要はない」

 維新代表の松井一郎・大阪市長は6月2日、札幌市内で丸山穂高衆院議員の「戦争発言」をぶつけられた大塚小弥太・ビザなし交流訪問団団長に“お忍び謝罪”を行った。メディア関係者には面談場所への入室を許さず、謝罪映像が流れるのを阻止。筆者が前記事と前々記事で指摘した「堺市長選(6月9日投開票)への悪影響を回避する選挙対策に専念した」としか見えなかった。

マスコミ関係者をいっさい入れず、密室で謝罪

事務所に入って行く松井代表

6月2日、メディア関係者の入室が禁止された面談場所の「北方領土北海道交流委員会(札幌市中央区)」の事務所に入って行く松井代表

 6月2日13時半すぎ、「北方四島交流北海道推進委員会」(札幌市中央区)が入ったビル前に黒のワゴン車が止まり、待ち構えていた報道関係者が押し寄せる中、馬場伸幸・維新幹事長と松井代表が現れてビルの中に入って行こうとした。  そこで馬場幹事長に「なぜ非公開なのですか」「(堺市長選の)選挙対策ではないですか」と声をかけたが、無言のまま。松井代表にも「堺市長選の選挙対策ではないですか、非公開なのは」と同じ質問をすると、一瞬こちらを振り向いて「まったく違います」と反論した。  普段は入室可能なビルだが、この日に限っては入室禁止。面談場所となった3階の事務所にはどの報道機関も入ることはできず、出てくるのを待つしかない。そして約1時間後の14時半すぎ、謝罪を終えた松井代表と馬場幹事長がビルの前での囲み取材に応じた。  まず松井代表は「党に所属していた議員が島民のみなさんを傷つけ、北方四島返還に向けた活動を踏みにじる発言で、ビザなし交流を台なしにした行動をしたことに、党の代表としてたいへん申し訳なく思い、謝罪をさせていただいた」と語った。  そして、謝罪を受けた大塚団長が「国会議員があのような発言をすることに大変ショックを受けた。何度も『戦争』という言葉遣いをすべきでないと伝えたがやめなかった。元島民の思いを受け止めず、重大性も認識しておらず非常に腹が立った。(返還の)道筋を国に作ってもらうことが島民みんなの思い。与野党を問わず、そこに寄り添って行動してほしい」と語ったとも報告した。  続いて馬場幹事長は今後の維新の対応について「G20(主要20か国地域首脳会議)など、あらゆる機会を通じて北方四島の返還を目指し頑張る」との意気込みを語った。

松井代表「(謝罪の内容は)国民に知らせる必要はない」

待つマスコミ

”お忍び謝罪”が行われているビルの前で、面談が終わるのを待つメディア関係者たち

 しかし松井代表も馬場幹事長も“お忍び謝罪”になった経緯については語らなかった。そこで、筆者はその理由を聞いてみた。 ――なぜ非公開になったのですか。大塚団長は「公開でもいい」と言っていたのですが。(堺市長選の)選挙対策ですか。 松井一郎代表:横田さん、勝手に思い込ませているだけで。 ――大塚団長は「非公開にしてくれ」と言っていないのに非公開になったのは、維新の希望で非公開になったのではないですか。 松井代表:我々はそういうことは申し上げていません。 ――大塚団長は「非公開にしてくれ」とは言っていないというのです。維新の側が「非公開にしてくれ」と言ったのではないですか。 松井代表:まったく違います。 ――では、なぜ非公開になったのでしょうか。 松井代表:それは公開する必要がないからです。我々はこれを宣伝に使おうという気持ちはまったくありませんから。誠意を持って、今回、島民の方を傷つけたことに対して、その議員が我が党の所属議員だったから党代表として謝罪の気持ちを相手に伝えたかっただけですから。無理に公開する必要はないじゃないですか。 ――国民に知らせる必要はないのですか。 松井代表:中身について知らせる必要はあるのですか。謝罪に来たのです。ちゃんと気持ちを持って、誠意を持って謝罪に来たので、相手はそれを受け止めてくださいました。
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「戦争しかない」論は維新内部で行われていた議論!?
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