維新・松井代表がビザなし交流訪問団に非公開で謝罪。その内容は「国民に知らせる必要はない」

「4島返還なら戦争しかない」は、維新内部で行われていた議論だった!?

松井代表と馬場幹事長

”お忍び謝罪”の後、囲み取材に応じた松井代表と馬場幹事長

 松井代表の説明を聞いても、非公開の経緯も理由も筆者には理解困難だった。さらに、丸山議員の「戦争発言」と重なり合うような類似発言をしていた橋下徹・前大阪市長についても聞いてみた。  5月27日配信の「Abema TIMES」で橋下氏は「みんな『北方領土は4島返還だ!』とワーワー言うけど、僕は『本当に4島返還するとなったら、戦争をするしかないでしょう』と言ってきた。ここまでは丸山議員と一緒。でも、続けて『そんなことはできないからお互いに譲歩して、2島返還しかないんじゃないですか』と言ってきた」と主張していたのだ。 ――橋下徹さんは「戦争しないと4島返還は(実現)しない」という、丸山議員と同じようなことを主張していますが。 松井代表:そこだけ切り取った発言は横田さん、ダメですよ。彼(橋下氏)は「4島一括で答えを出すのなら戦争」という、あくまで戦争で4島を取られたことを持って「戦争」という手段を民間人として言っているだけで。彼も続けて「4島で戦争をするのはダメだ」ということも言っているし、「それでは、まず2島から返還なのか」という方法論について彼が言及しているだけです。戦争で4島を取り返すことは(元)島民の方も望んではおりません。 ――そういう(橋下徹氏と同じ)前提で、丸山議員も話したのではないのですか。(丸山議員も橋下氏も)「言葉足らずだった」ということでは同じではないですか。 松井代表:丸山議員は政治家として、人として一線を越える発言をしたと。これはお酒が入っていようが入っていまいが、彼としては(元)島民に寄り添うところがなかったと。 ――維新で議論している内容が、そのまま出たのではないですか。 松井代表:まったく違います。

丸山議員は橋本氏と同じ内容を主張しようとしていた!?

 橋下氏の主張は二段階で「本当に4島返還するとなったら、戦争をするしかないでしょう」の前段は丸山議員の発言と同じだが、後段の「そんなことはできないから、お互いに譲歩して、2島返還しかないんじゃないですか」という「2島返還論」を丸山議員が酔って主張し忘れた“言葉足らず”が、諸悪の根源ということになる。  維新で北方領土問題を議論している際に出ていたに違いない、その前段を口にした丸山議員だけが「政治家として人として一線を越える発言をした」と断罪されて除名処分になる一方、同じような発言をしている橋下氏には全くお咎めがないのは二重基準(ダブルスタンダード)ではないのか。  松井代表は橋下氏の主張に沿って「維新関係者の間では『本当に4島返還するとなったら、戦争をするしかないでしょう』という非現実的な見方を示したうえで現実的な『2島返還論』に行き着く議論をしていましたが、丸山議員は前段部分だけを主張してしまった。後段部分が抜けた言葉足らずをお詫びします」と謝罪するべきだったのではないか。  橋下氏と同様に、膠着状態にある北方領土問題の本質を口にしたものの、後半部分の「2島返還論」を言い忘れた可能性のある丸山議員。その言い分を聞くことなく「政治家失格」「人間失格」の烙印を押して、“トカゲの尻尾切り”のように丸山議員の除名と議員辞職勧告で問題の決着を図ろうとする維新の姿勢こそ、問題なのではないか。 <取材・文・撮影/横田一> ジャーナリスト。小泉純一郎元首相の「原発ゼロ」に関する発言をまとめた『黙って寝てはいられない』(小泉純一郎/談、吉原毅/編)に編集協力。その他『検証・小池都政』(緑風出版)など著書多数
ジャーナリスト。8月7日に新刊『仮面 虚飾の女帝・小池百合子』(扶桑社)を刊行。他に、小泉純一郎元首相の「原発ゼロ」に関する発言をまとめた『黙って寝てはいられない』(小泉純一郎/談、吉原毅/編)の編集協力、『検証・小池都政』(緑風出版)など著書多数
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