「日本シネマデイズ」参加作品映画『ひとりじゃない』(鐘江稔監督)より。被災地の思いをロシアに届ける
日露の映画やテレビドラマでも交流を深めている。2018年には、ロシアの人気俳優アレクサンドル・ドモカロフ氏主演のテレビドラマシリーズ『スパイ・ゾルゲ』が日本で放送された。またアレクサンドル・ドモガロフ氏が出演する、愛媛県松山市にあったソ連兵捕虜施設を舞台にした日露合同制作作品『ソローキンの見た桜』(井上雅貴監督)がモスクワ映画祭で招待上映された。
冒頭に伝えたロシアの「アムールの秋映画祭」の「日本シネマデイズ」でも、日本映画が上映される。上映作の一つが、宮城県豊里町で東日本大震災の被災によって家族を失った高齢者が、孤独と向き合いながら生きる姿を描いたドラマ作品『ひとりじゃない』(鐘江稔監督)だ。
鐘江監督は「日本では一人暮らしの人や、孤独死の数も増えています。被災地で家族を失った人がどんなに寂しい思いをしているかを伝え、人との素晴らしい出会いがあれば、明るい希望につながることをロシア・世界に伝えたい」と抱負を語った。
今年は9月20日にラクビーW杯の日本×ロシア戦が味の素スタジアムで開催され、東京のほか熊谷、神戸、小笠山(静岡県袋井市)でロシア戦の試合も行われる。これらの地域ではロシア映画『叙情』の上映も企画されている。
日露の民間交流が着実に積み上がっている中、政治がそうした友好に水を差すことがないように願いたいものだ。
<文/増山麗奈(一般社団法人ユーラシア国際映画祭代表)>