セブン-イレブンの現役社員でもある河野さん。彼が代表を務めるコンビニ関連ユニオンが呼びかけたChange.orgのページは9326人が賛同していた。
長野県内で活動する千曲(ちくま)ユニオンの河野正史副委員長が5月27日、信州大学への建造物侵入の容疑で逮捕された。河野さんは、セブン‐イレブン・ジャパンの社員でありながら、同社が加盟店に24時間営業を強要することを批判してきた人物。6月9日に結成される予定の「コンビニ関連ユニオン」の委員長にも就任する予定だった。
警察発表によれば、昨年末に信州大教育学部の施設内に、大学の許可を得ず侵入した何者かが中核派の機関紙「前進」を置いて配布したり張り出したとされ、その容疑で逮捕されたという。しかし、河野さんは黙秘し、関係者には「12月20日には信州大教育学部には行っていない」と主張していた。
結果、翌28日には保釈されたものの、セブン&アイ・ホールディングスの株主総会当日であり、コンビニ関連ユニオン結成直前のタイミングで河野さんに逮捕状が出たことから、関係者らは「不当逮捕」だと憤っている。
記者会見から4日後の逮捕 容疑は昨年12月の建造物侵入
5月23日、セブン&アイ・ホールディングスの株主総会が開催された。総会後、コンビニ関連ユニオンの準備委員会と千曲ユニオン、群馬合同労働組合のメンバーらは記者会見を実施。24時間営業を続けるかどうか加盟店のオーナーが選べるようにしてほしいと要求した。
また、セブンイレブンの日である7月11日に、営業時間を短縮するストライキを実施しようと全国のオーナーらに呼び掛ける方針だと発表した。
記者会見から4日後の27日、河野さんは信州大学への建造物侵入の容疑で逮捕された。昨年12月20日に同大教育学部のキャンパスに立ち入ったことが問題になったという。
同大は、許可を受けずに掲示することを認めておらず、警察に被害届を出していた。しかしキャンパス自体は、学生以外も出入りが自由となっている。群馬合同労働組合の清水彰二委員長は「建造物侵入には当たらない。不当逮捕だ」と話す。
千曲ユニオンは5月30日に逮捕を批判する
声明を発表。同社の社外取締役である米村敏朗・元警視総監が関与しているのではないかと推測している。大学から被害届が出されていたのは昨年12月にもかかわらず、逮捕状が発行されたのは株主総会当日。河野さんの活動を妨害するために、逮捕したのではないかということだ。
「24時間営業をするかどうか選べるようにしてほしい」
コンビニ関連ユニオンは6月9日に結成予定。セブン-イレブン・ジャパンに抗議を続けてきた千曲ユニオンや群馬合同労働組合らのメンバーが中心になるという。本社の社員と加盟店オーナー、店舗のアルバイトだけでなく、配送ドライバーや工場の従業員も加入できるような組合を目指す。
本社に求めるのは、やはり24時間営業の見直しだ。深夜にアルバイトを一人しか配置しないと、適切に休憩時間が取れずに違法となる。そのため、加盟店のオーナー自らが店舗に立つことも多い。オーナーは、雇われて働く労働者に当たらないため、労基法が適用されないからだ。
日中もアルバイトの穴を埋めながら、深夜の勤務を続ければ、体を壊してしまうであろうことは想像に難くない。清水さんは「24時間営業を押し付けるのをやめて、オーナーが選択できるようにしてほしい」と訴える。