日本も他人事ではない。世界最大の民主主義イベントで繰り広げられた壮絶なネット世論操作

大規模かつ組織的なネット世論操作が当たり前なインド

 The Atlantic誌によると、インドのネット世論操作はすでに組織としても確立されている。与党であるインド人民党はWhatsApp をプロパガンダ拡散ツールとして活用しており、インド人民党の情報技術部長Amit Malviyaが管理する「BJP Cyber Army 400+」などのグループがある。  インド人民党の選挙戦略の中心はヒンズー教とイスラム教の対立を煽ることである。有権者の80%がヒンズー教徒である以上、そこを強固な基盤とするためにはこの対立図式が有効なのだ。他の政党が類似の戦略をとってもインド人民党の巨大なSNSの力にはかなわない。  インド人民党のネット上の選挙キャンペーンには120万人のボランティアが参加する。ウッタル・プラデーシュ州に拠点がある同党のIT部門は、組織は6つの階層に分けられ、首都から地方都市までをカバーしている。最終層では投票者に直接働きかける。  また同党はNaMoというネット世論操作専用のアプリを開発しており、少なくとも2つの州ではプリインストールされた安価なアンドロイド端末が配布されている。記事によれば1000万人以上がインストールしているという。

Facebookは不審なインドのアカウントを削除で対応

 こうした状況に対し、フェイスブック社は組織的かつ不審な活動を行っていたインドのアカウントやページを削除した(参照:『Removing Coordinated Inauthentic Behavior and Spam From India and Pakistan』facebook Newsroom、2019年4月1日)。  具体的には野党インド国民会議の「IT Cell」に関係する687のフェイスブックページとアカウントを削除、インドのIT企業Silver Touchに関係している15のフェイスブックページとグループとアカウントを削除、321のフェイスブックページとアカウントを規約違反で削除した。これだけ読むと与党であるインド人民党は削除対象になっていないように見えるが、後述するように実はそうではない。
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壊れる選挙、蹂躙される民主主義
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