問題続発から正常化? 再燃するソーシャルレンディング投資は本物か?

利回り重視よりも低リスク商品が人気に

 maneo事件と匿名化の解除を受けて、古くからのSL投資家は運用方法を変化させているのだ。現在、600万円をSLで運用する中年リール氏もこう話す。 「利回り重視でリターンの大きな商品に積極的に投資していた時期もありますが、今は第一に『事業者リスク』をチェックするようになりました。昨年発生したトラブルはすべて募集をかけたSL事業者に原因があったと考えられるからです。貸し先の実名化はリスクの透明性を高める効果はありますが、事業者リスクを払拭するものではありません。SL事業者のガバナンス、財務内容、情報公開の姿勢などを細かくチェックすることも重要です。その点でいえば、『OwnersBook』の運営会社や『LCレンディング』の親会社は上場企業であるため信用度が高い。SBIソーシャルレンディングは言わずと知れたSBIグループ。金融サービス大手が運営しており、不正を働くリスクは小さい」

ソーシャルレンディングの仕組み

 事業者リスクをチェックしたら、次は商品選びだ。 「低リスクを追求するなら、担保や保証がついた商品。OwnersBookはすべての商品で不動産を担保に取っています。LCレンディングの商品には親会社LCホールディングスの連帯保証がついている商品もある。一方で、SL商品のマーケットプレイスに徹しているfundsは、主に上場企業をファンドの組成会社にした独自の商品スキームが注目を集めています。集めた資金の貸し先をその上場企業の関連会社にして、最終的な資金需要者には関連会社が貸し付けるのです。ファンドから直接、資金需要者に貸し付けて返済が滞った際に、組成会社である上場企業が肩代わりしたら損失補塡に問われてしまう可能性がありますが、関連会社を経由すればそのリスクを払拭できる。上場企業が潰れない限り、貸し倒れが発生しない、社債に近い商品設計のため低リスクなんです。fundsの商品は低利回りのものが少くありませんが、SL業界で想定利回りが8%を超える商品はそれなりに貸し倒れリスクが発生することを理解しておきましょう」(SALLOW氏)  そう言いながら、両氏が紹介してくれた注目のSL事業者は下記のとおり。ただし、一点集中は禁物。SLでは投資先を分散するのが鉄則だ。SALLOW氏は200本の商品に投資しており、中年リール氏は8社の商品に分散投資しているという。  なお、前述のSL事業者によると「匿名化の解除によって貸し先の信用力がこれまで以上に求められるようになってきたため、今後SL商品の利回りが全体的に低下していくのは必至」とか。低リスクで安定的に5%超のリターンを得たい人は、早めにSL投資を始めてみよう。

<SALLOW氏&中年リール氏注目のSL事業者5選!>

【業界No.2の実績】SBIソーシャルレンディング 商品の想定利回り 3.2~10%  信頼の厚さはNo.1。5月から貸し先を公開した「不動産担保ローン事業者ファンドNeo」シリーズの募集を開始すると10分程度で完売。常時募集中の不動産担保付きファンドも人気 【上場会社保証付きも】LCレンディング 商品の想定利回り 4~10%  不動産特化型。JASDAQに上場するLCホールディングスの100%子会社で、親会社の連帯保証付き商品は特に低リスク商品として人気。担保・保証なしの8%超の高利回り商品もある 【社債的SLで急成長】クラウドポート「funds」 商品の想定利回り 1.5~6%  オンラインマーケット事業に特化。主に上場企業をファンド組成企業とし、その関係会社への貸し付けスキームを採用することで社債に似た低リスク商品を実現。30秒で売り切れた商品も! 【すべて不動産担保付き】ロードスターキャピタル「OwnersBook」 商品の想定利回り 4~5%  東証マザーズ上場企業。不動産鑑定士を含む不動産のプロが多数在籍し、SL事業以外にも自社で不動産の管理・運用代行事業を展開。担保物件のリスク分析結果などを詳細に公開している 【世界へ貸し付け!?】クラウドクレジット 商品の想定利回り 5.9~13%  海外案件への貸し付けに特化した異色のSL事業者。「ナイジェリア未電化地域支援ファンド」など新興国の事業者の資金ニーズを満たす商品が主力。リスクは高めだが高利回りな商品が大半 【SALLOW氏】 http://fanblogs.jp/sallowsl/ 「ソーシャルレンディング投資記録」管理人。8000万円をSLで運用。昨年の分配金は430万円。著書に『1万円から始める投資―ソーシャルレンディング入門』(かんき出版) 【中年リール氏】 https://mezzanikai.com/ 「中二階の住人」管理人。サラリーマン投資家。’17年8月から投資経験ゼロでSL投資開始。現在600万円を運用し、月に3万~5万円の不労所得を獲得 取材・文/吉岡 俊 池垣 完
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