写真は2017年のガソリン不足時。 photo by VOA (Public Domain)
世界で最も石油の埋蔵量が多いとされている国ベネズエラ(参照:
「Statistical Review of World Energy」-BP)で今、全国レベルでガソリンを給油するのに長蛇の列が続くという現象が起きている。
ふんだんに石油が埋蔵されているのにガソリンが不足しているというジョークにでもなりそうな現象であるが、給油するのに24時間待ちとか、3日間ガソリンスタンドの列に加わって車の中で寝泊まりするという事態も起きているという。5日間待たされる場合も場所によってはあるそうだ。
最も被害が顕著なのはコロンビアとブラジルに接した国境地域だという。ガソリンが不足する以前から国境地域ではベネズエラの非常に安価なガソリンを隣国に持ち込んで隣国の市場価格よりも安く提供して利益を上げる商売が行われていた。ベネズエラ国内でガソリンが不足しているという事態になっても、それが習慣化してしまっているのだ。(参照:「
El Confidencial」)
ガソリンが不足している原因は原油の採油が大幅に後退しているということ。また、採油された原油を製油するにも国内に6か所ある製油所の内のアムアイとカルドンの2か所しか機能しておらず、それも平常の10%余りしか機能していないからである。しかも、以前はガソリンが不足しても原油を米国にあるベネズエラ石油公社の子会社CITGOに送れば物々交換で米国からガソリンが提供されていた。しかし、今は制裁の影響でそれが不可能となっている。(参照:「
El Confidencial」)