丸山穂高議員の「戦争発言」、維新の“行儀見習い”が原因!? 

原発再稼働反対を口にすることがなくなった橋下氏

小鑓隆史候補の応援演説を行う橋下氏

滋賀県知事選で、原発再稼働推進の小鑓隆史候補の応援演説を行う橋下氏

 2012年4月、維新創設者である橋下・大阪市長(当時)は「僕は頭に来た。民主党政権はノーです。俄然やる気が出てきた。維新政治塾のメンバーにはとにかく国政に行ってもらいたい!」と発言。大飯原発再稼働をしようとしていた野田政権打倒宣言をした。  そして、元経産官僚の古賀茂明氏や環境エネルギー政策研究所の飯田哲也所長、河合弘之弁護士らがメンバーの「大阪府市エネルギー戦略会議」を立ち上げ、再稼働なしでの節電計画作成を指示、原発推進の経産省と渡り合った。当時の橋下氏は、大阪から日本のエネルギー政策を脱原発に変えようとしていたのだ。  しかし橋下氏は次第に原発再稼働問題をほとんど口にしなくなり、2012年12月に誕生した第2次安倍政権が原発再稼働に邁進してもこれに反対することはなかった。  しかも2014年7月の滋賀県知事選では、元経産官僚で自公推薦の小鑓隆史候補(現・自民党参院議員)の応援演説を行い、大飯原発再稼働反対で連携した嘉田由紀子・前滋賀県知事から「小鑓候補は原発推進」と忠告された。しかし、橋下氏は「大阪都構想でお世話になっている菅官房長官に頼まれた」と言って聞く耳を持たなかった。

維新での“再教育”と、丸山氏の変貌に因果関係はあるのか

維新独自案について「合憲」認定

2015年7月、小林節教授(左から2人目)に、維新独自案について「合憲」認定を受けた丸山氏(右から2人目)

 このような「ゆ党」と揶揄される政権補完路線は、維新に大きな恩恵をもたらした。橋下氏は2018年9月出版の『政権奪取論 強い野党の作り方』の中で、安倍政権と維新との関係を次のように記している。 「大阪の政治行政は、安倍政権の協力で、これまで進めることができなかった政治課題をどんどん進めることができた。うめきた2期開発、阪神高速道路淀川左岸線の延伸、大阪万博への挑戦、カジノを含む統合型リゾート推進法(IR推進法)の制定、リニア中央新幹線の大阪開通の8年の前倒し――その他、これまで法律や制度の壁にぶつかっていたことを安倍政権の協力で乗り越えたことは多数ある。ゆえに、日本維新の会が安倍政権に協力することは当然だ」(同書p.231より)  維新代表の松井一郎市長と橋下氏は、定期的に安倍首相や菅官房長官と会食する親密な関係だ。安倍政権肝いり法案の審議でも維新は、野党が反対した共謀罪やカジノ法案などに賛成、安倍首相の悲願である憲法改正論議にも協力している。一方で安倍政権側も、維新の目玉政策である大阪万博誘致やリニア開通前倒しなどのインフラ整備促進に協力している。  安倍政権の補完勢力となることで地元への利益誘導に成功してきたように見える維新での“再教育”と、戦争発言を口にした丸山氏の変貌との間に因果関係はないのだろうか。維新にはまったく責任のないことなのだろうか。国会などでの丸山氏の発言が注目される。 <取材・文・撮影/横田一> ジャーナリスト。小泉純一郎元首相の「原発ゼロ」に関する発言をまとめた『黙って寝てはいられない』(小泉純一郎/談、吉原毅/編)に編集協力。その他『検証・小池都政』(緑風出版)など著書多数
ジャーナリスト。8月7日に新刊『仮面 虚飾の女帝・小池百合子』(扶桑社)を刊行。他に、小泉純一郎元首相の「原発ゼロ」に関する発言をまとめた『黙って寝てはいられない』(小泉純一郎/談、吉原毅/編)の編集協力、『検証・小池都政』(緑風出版)など著書多数
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※丸山氏の変貌については5月17日配信のデモクラシータイムス「『戦争で島奪還』 危うい!政治家の『軽さ』」で、日刊ゲンダイ編集局の平井康嗣・前『週刊金曜日』編集長が紹介。筆者は立教大学ラテンアメリカ研究所学外所員の伊高浩昭氏、ノンフィクション作家の高瀬毅氏と議論している。