ビジネスで「単刀直入」はありかなしか? 相手の興味を左右する会話の組み立て方
初対面の人とはなかなか話の口火をきれないと思っている人は多い。話し上手か否かは、その人が持って生まれた性格によるので、今さらどうにもならないと諦めている人もいるだろう。これから何とかしようと思っても、長い年月がかかったり、とてつもない苦労をしなければならないと感じてしまうのだ。
しかし、諦める必要はない。その人と話をすることに至った背景を話せばいいのだ。
「先日お約束させていただきました」
「○○さんからのご紹介で初めてお目にかかります」
言われてみれば、よく使っているフレーズだ。世間話や冗談を言うよりも、簡単で、どんな場面でも使える。修得にも長い時間はかからない。やろうと思ったら、だれでもできることだ。このフレーズを使ってみると、各段に話の口火が切りやすくなったと実感することだろう。
これができるようになると、次に「話すことに至った背景のあとは何を話せばよいのだろうか」という疑問がわきあがる。「いきなり本論に入るのは唐突だ」「話がつながりにくい」「聞き手が引いてしまう」と感じてしまうのだ。では、話をすることに至った背景の次は、いったい何を話せばよいのだろうか?
筆者が20年来、ビジネススキルを向上させるプログラムを実施してきて、演習参加者が最も引き込まれやすいと感じる方法が、背景の次に自己紹介、話の目的、所要時間を話すことだ。
自己紹介は、所属会社や氏名を伝えたり、今の状況や気持ちを伝えたりすることだ。
「先月お目にかかりました(背景)、○○会社の山口です(自己紹介)」
「たいへんご無沙汰しています(背景)、○○会社の山口です(自己紹介)」
というようになる。
演習の参加者のなかには、「相手が自分をよく知っている人でも、自己紹介をするべきだろうか」という質問をしてきた人がいる。自己紹介とは、何も所属会社や氏名を言うということだけではない。今の自分の状況や気持ちを伝えることも立派な自己紹介だ。むしろ、名乗るだけの自己紹介よりも、状況や気持ちを伝えることで、聞き手を引きつける度合は高まる。
「昨日は遅くまでおつき合いいただきありがとうございました(背景)。ちょっと寝不足ですが、張り切っています(自己紹介)」
「先週に引き続いて、定例ミーティングを開始します(背景)。初めての進行役で緊張していますが、よろしくお願いします(自己紹介)」
こういったフレーズになり、より相手の興味を集めやすくなるのだ。
いきなり本論に入るのは唐突
出会いの背景から、自己紹介へ
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