自己紹介のあとは、話の目的と所要時間だ。
「今年度の方針について検討したいと思います
(目的)。時間は一時間です
(所要時間)」
「新商品のご紹介をさせていただきたいと思います
(目的)。30分お時間をいただいていますので、よろしくお願いします
(所要時間)」
あらかじめ会議の案内をしていたり、アポイントメントをとっているのだから、聞き手はわかっているはずなので、あらためて目的や所要時間を言うのは、くどいのではないかと思う人もいるかもしれない。
しかし、目的や所要時間をあらためて言われることで、聞き手は、「たしかにそうだったな」「そういう目的だったな」「この話し手は所要時間をわきまえてくれているんだな」というように感じて、安心してくれることが多い。安心してくれるので、関心度、集中度を保ったまま、話の続きに入れるということになる。
「話は結論が先」ということを聞いたことのある人も多いに違いない。しかし、いきなり結論から話し始めたら、「どういう背景で話に来たのかな」「いったいどういう人だったかな」「目的は事前に連絡してくれていたけれども何だったかな」「このあと予定が入っているんだが、所要時間はどのくらいなのか、話し手はわきまえているのかな」というように不安に思ったまま話が進んでしまうので、聞き手の関心度、集中度は高まらないのだ。
質問:背景の次に、何を話したらよいかわからない
既に会ったことのある人でも、初対面の人でも、会うことになった背景を話せばよいということはわかりましたが、そのあと、どのように話をつなげていったらよいか、わかりません。
背景を話したら、本論を話せばよいのでしょうか。何だか、唐突な感じがします。
回答:自己紹介、目的、所要時間を話す
「先週アポイントメントをとらせていただきました、○○会社の山口です」「突然 お伺いいたしましたが、○○会社の山口です」というように、会うことになった背景のあと、自己紹介につなげると、話がスムーズです。
そして、「本日は、新商品のご説明にお伺いしました。30分、お時間をいただいていますので、ご説明させていただければ幸いです」「ご相談ごとがあってお伺いしました。10分ほどお時間をいただいてよろしいでしょうか」というように、目的と所要時間を伝えます
【山口博[連載コラム・分解スキル・反復演習が人生を変える]第136回】
【山口 博(やまぐち・ひろし)】グローバルトレーニングトレーナー。モチベーションファクター株式会社代表取締役。国内外企業の人材開発・人事部長歴任後、PwC/KPMGコンサルティング各ディレクターを経て、現職。近著に『
チームを動かすファシリテーションのドリル』(扶桑社、2016年3月)、『
クライアントを惹き付けるモチベーションファクター・トレーニング』(きんざい、2017年8月)がある