女子ファンのためのイベント「YOKOHAMA GIRLS☆FESTIVAL」
単にファンサービスが良いだけではない。女子ファンの心を掴むための数々の施策を打っている。そのうちのひとつが、年に1回開催される「YOKOHAMA GIRLS☆FESTIVAL」だ。この期間中に横浜スタジアムで観戦すると、女性限定で、その日のためにデザインされたユニフォームが無料配布される。女子ファンたちは、お揃いのユニフォームを着て観戦できる。
その楽しみ方にも、「女子ならでは」の工夫があるようだ。「ユニフォームとは別で、数字やアルファベット、チームのキャラクター等のワッペンが売っているんです。それを、ユニフォームに貼ってデコると、オリジナルのユニフォームができる。それを着て球場の友達みんなで写真を撮るのがすごく楽しい」。通常販売しているユニフォームは、決まったデザインであることが普通だ。自分でデコることができるとなると、好きな選手のユニフォームを、好きなデザインで作ることができる。
「実は野球ファンの女のコって、元ジャニオタが多いんです」
その他にも、無料でペンライトが配られる、試合の合間にキティちゃんがDJをする、選手に「なでなで」してもらえるポーズの写真が撮影できる等身大パネルの設置等、多数のイベントを企画し、球場に足を運ぶ女子ファンをとことん楽しませる工夫を凝らしているのだ。それはさながら、「男性アイドルのライブ会場のような雰囲気」だという。
「実は野球ファンの女のコって、元ジャニオタのコが多いんです。応援する、とか、現場に通う、っていうことの楽しさや楽しみ方を、わかってるんだと思う」。
女子ファンが球場に足繁く通う理由は、球団や選手を応援するためだけ、ではないらしい。女子ファン同士の交流も活発で、球場に足を運び試合を観戦することが「最高に楽しい1日」を作ってくれる。「ハマスタ(横浜スタジアム)は立地も良い。試合後も、仲の良い女子ファンで一緒に中華街で中華を食べて。丸一日、とにかく楽しめるんです」。「ハマスタ行って、お揃いのユニ(ユニフォーム)を着て、ビール飲んで、写真を撮る。それがめちゃくちゃ楽しい」とAさんは熱く語る。野球観戦というイベントを核としながらも、それに付随する数々の「体験」を楽しめることが、女子ファンの心を掴んで離さない理由だろう。
成長を遂げているスポーツビジネス。そこからは、様々なファン層の心を掴む「ヒント」が隠されていると感じる。
<取材・文/汐凪ひかり>
早稲田大学卒業後、金融機関にて勤務。多様な働き方、現代社会の生きづらさ等のトピックを得意分野とし、執筆活動を行っている。