「相手との対話の口火を切るには、世間話や冗談を言えばよい」ということが、まことしやかに言われるが、実は、世間話や冗談を言うことは、難易度が高い。その人に合った世間話は何なのか、何の世間話をするか、世間話をどのように構成するか、世間話を一から組み立てなければならないからだ。また、世間話から、本論へのつなぎも難しい。
その点、相手との以前のやりとりを拡大解釈していった内容は、強弱はともかく、相手との接点がある内容なので、相手を引きつけやすくなる。加えて、以前の話から本日の話、相手の会社との設定から相手との話というように、本日の相手との話へつなげやすいという利点もある。
実は、巷で言われているビジネススキルを向上させるための方法には、難しいものが多い。難しく考えずに、分解スキルを見極めて、反復演習することが、スキル向上の早道なのだ。初対面の人と話すことが苦手だと思っている人は、是非、試してみていただきたい。
質問:初対面の人と話の口火を切れない
世間話をするかわりに、以前やりとりした内容を話すといっても、初対面の人とは、どのように話の口火を切ればよいのでしょうか? それがわからないので、初対面の人と話ができないのです。
回答:今日に至る背景を話す
会うことになった背景を話すと、初対面の人でも引きつけやすくなります。「先日アポイントメントをとらせていただきました」「○○さんからご紹介いただきました」というように話します。これも、会うことになった背景です。
アポイントメントや紹介ではない、突然会うことになった場合には、「突然お会いすることになりました」「偶然お会いできて、嬉しいです」というように、そのとおりの状況を伝えればよいのです。
【山口博[連載コラム・分解スキル・反復演習が人生を変える]第135回】
【山口 博(やまぐち・ひろし)】グローバルトレーニングトレーナー。モチベーションファクター株式会社代表取締役。国内外企業の人材開発・人事部長歴任後、PwC/KPMGコンサルティング各ディレクターを経て、現職。近著に『
チームを動かすファシリテーションのドリル』(扶桑社、2016年3月)、『
クライアントを惹き付けるモチベーションファクター・トレーニング』(きんざい、2017年8月)がある