佐々木千夏・杉並区議が「日本平和神軍」って本当? 電話で直接尋ねたら……

かつて注目された裁判

平和神軍観察会

平和神軍観察会のサイト(閉鎖済み)

 日本平和神軍を調査し掲載していたウェブサイト「平和神軍観察会」も、同様に日本平和神軍とグロービート社の関係を発信してきたサイトだ。  同サイトには、「新進党はユダヤの手先」「小沢一郎も山本五十六も南雲中将もフリーメーソン」「国際化と言ってるのはみんな朝鮮人!」「神戸の大地震ね、あれもそうだから、あれみそぎですよ。朝鮮人が多すぎた」といった、中杉氏の説法テープの内容も掲載されていた。 「平和神軍観察会」の運営者だった会社員男性は、名誉毀損を理由にグロービート社から訴えられ、民事裁判では77万円の損害賠償、刑事裁判では罰金30万円の有罪判決が下っている。2010年まで7年間にわたる裁判だった。  裁判では、日本平和神軍とグロービート社との間に関係があることは認められたものの、「一体とまでは言えない」とされた。また、サイト内の文章の一部に事実誤認や揶揄的な表現があったことが男性にとって「敗因」となった。  しかし「一体とまでは言えない」はずなのに、グロービート社が勝訴すると日本平和神軍のウェブサイトに「勝利宣言」が掲載されるということも起こった。男性は裁判に負けたものの、日本平和神軍とグロービート社の関係はそれまで以上に明らかになった裁判だった。  訴えられたのは膨大なサイト内のごく一部の記述についてのみ。サイトの内容の大半は正確で、ジャーナリスト顔負けの調査による独自情報も含まれていた。訴訟に至っても男性は「自分が泣き寝入りすればネットの表現の自由が萎縮しかねない」と、最高裁まで闘い抜いた。インターネット上の「表現の自由」に関わる重大な裁判で、判決時には新聞も含め複数のメディアが取り上げた。

佐々木区議本人に電話で確認

 佐々木氏は、この日本平和神軍の「野中広子中佐(総督第二秘書)」だったと言われている。「野中広子」の名は実際に日本平和神軍のウェブサイト(すでに閉鎖)に掲載されており、ある時期以降は「佐々木千夏中佐(総督第二秘書)」と掲載されていた。
野中中佐特集01

野中中佐特集01(閉鎖済みの日本平和神軍ウェブサイトより)

 日本平和神軍との関係は、昨年6月に行われた杉並区議補選に佐々木氏がN国党から立候補したとき、すでに話題になっていた。それが先月末のN国党の除名騒動で、さらに注目され話題になるようになったという経緯だ。  N国党をめぐる今回の騒動では、立花氏がTwitterで佐々木氏からのメールを公開した。そこには「NHK問題の本質は、内部に朝鮮人が増えたからこそ発生した」などと書かれていた。  佐々木氏は今回の杉並区議選の選挙公報にも、「NHKの問題」として「職員の外国人数を非公開」と記載。さらに「NHKと政治の問題」として、「既存政党はNHKと結託し国民を自虐史観に洗脳、存在しない従軍慰安婦に税金から10億、二重国籍議員がこの謝罪外交のバックマージンにより私腹を肥やしているのが現行政治です」と記載していた。  現在、Twitterなどでは、佐々木氏が日本平和神軍幹部であったことは自明のこととして語られている。しかし少なくともネット上には、その事実を証明する物証を見つけることはできなかった。  日本平和神軍が活動していた当時を知る人からの資料提供を受けて、同一人物であることは確認できた。しかし、やはりここは本人に直接聞いてみるべきだろう。そう考え、杉並区議選の選挙公報に掲載されていた佐々木氏の携帯電話番号にかけてみた。  佐々木氏は、自身が日本平和神軍の野中中佐であり佐々木中佐だったことについて、あっさりと認めた。中杉氏が経営する学位販売会社「イオンド大学」や「日本催眠カレッジ(催眠大学校)」にも「佐々木千夏」の名があるが、これも本人であると認めた。  佐々木氏の説明を要約する。 「平和神軍は、もうずいぶん前に自然消滅しています。非常に懐かしいです。最後に活動したのは19年くらい前ではないかと思います。その頃まで講習会があったと記憶しています。暴力的な団体ではなく、日本精神を学ぶ思想集団の将校です。いまは『正理会』(しょうりかい)という団体で、中杉先生が名誉会長、私は副主任教授という立場。平和神軍にいた朝鮮人はみな脱走して、正理会は全員日本人です。正理会は仏教や神道の教えに基づいた団体で、カルト宗教ではありません。民衆を騙す幸福の科学や創価学会のようなことは全くありません」  正理会は、日本平和神軍が活動していた頃からすでに存在していたという。日本平和神軍の機関誌のタイトルも『正理』だ。
野中中佐

野中中佐(日本平和神軍ウェブサイトより)

 N国党・立花代表が暴露した佐々木氏のメールも、本物だという。そこには「二重国籍の国会議員が250人いる」かのようなことも書かれていた。 「『二重国籍』と書いてしまいましたが、言葉足らずでした。帰化人のことです。DNAまで調べることはできませんので、各議員の発言や政策を元にしています。『國民新聞』に載った『帰化人国会議員一覧』を見ていただければと思います」(佐々木氏)
佐々木氏のメール

佐々木氏のメール

 そのメールには、立花氏が当選者たちに求めた「130万円」等について、「会長がお怒り」といった趣旨も書かれていた。 「会長と書いてしまいましたが、(正理会の)名誉会長です。中杉弘先生のことです」(佐々木氏)  佐々木氏によると、佐々木氏が立花氏に公認を頼んだ場には沓沢氏と中杉氏も同席。中杉氏から立花氏に「NHK内に何人朝鮮人がいるのか知っているのか」などと話したりもしたという。また中杉氏の著書も立花氏に渡したという。仮にこれが事実なら、N国党は佐々木氏や中杉氏の思想を認識した上で佐々木氏を公認したことになる。 「立花氏は、除名された4人の黒幕が中杉先生であるかのように言っていますが、それは全く違います。今回除名された4人のうち、私以外の3人は、平和神軍や正理会と全く関係ありません」(佐々木氏)  佐々木氏は、日本人より朝鮮人のほうが生活保護を受給しやすいとか、市役所の生活保護担当の部署に朝鮮人が入り込んでいるのだといった持論を、筆者に向かって語り続けた。 「これは区別であり、差別ではないんです」(佐々木氏)
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なんと中杉氏本人が取材に……
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