弁護士団体の要請を無視、“反社会的”教団の式典に来賓出席する閣僚たち<政界宗教汚染~安倍政権と問題教団の歪な共存関係・第11回>

3世信者スピーチと2世信者の「無条件ダンス」に目を潤ませる最高権力者

 大会は教団元日本会長の孫娘である3世の学生が“孝情スピーチ”を行った他、2世信者たちが韓鶴子総裁への忠誠を誓って「無条件の信仰を奉献する」“無条件ダンス”を披露。壮年男性信者3千人による教祖夫妻への思慕ソング合唱の際には、スーパーアリーナが北朝鮮のマスゲーム会場を彷彿とさせる異様空間と化した。
韓鶴子

2世の“無条件信仰ダンス”に感極まる韓鶴子総裁(上)壮年信者3千人の大合唱(下)(PeaceTVより)

430家庭の伝道を指示

 主賓講演で韓鶴子総裁は「全祝福家庭が神氏族メシアとして430家庭の勝利をして欲しい」と“御言(みことば)”を述べた。これは、合同結婚式を受けた家庭はこの先430家庭を伝道するよう指示するものだ。この「430」という数には聴き覚えがある。日本統一教会では2014年ごろまで「430数勝利」として一祝福家庭あたり430万円の献金納付が指示され、達成した家庭に天福函なる経典類を納めた箱を授けていた。430万円献金指令の次は430家庭の伝道指令という流れだ。  韓鶴子はさらに「日本が過去の過ちを認め天に侍る『神日本』になる事」として「天は近代史において過ちを犯した日本を赦し、神の国として祝福して下さいました。その事への感謝と責任を自覚し、より高い次元で世界の発展に貢献する母の国になって欲しい」と“御言(みことば)”を語った。  この教団最高権力者は大会当日夜に開かれた祝勝会でも「日本、特に指導者層の人たちは、近代史における過ちをはっきりと認めなければならない」と発言、日本の教団幹部に「ちゃんと日本の指導者たちに、正しい歴史観を教育しなさい」と指示した。そんな韓鶴子の願いは「日本が母の国の使命を全うすること」だという(参照:『世界家庭2018年9月号』光言社)。日本に課せられた「母の国の使命」とは如何なるものなのか。それは3週間後の岡山での“1万人”大会で明らかとなった。

現役閣僚の秘書が代理出席、閣僚が祝電

 教団は7月22日にも岡山県のジップアリーナ岡山で「1万人集会」と銘打ち大規模信者集会『復興祈念2018孝情文化ピースフェスティバルin OKAYAMA』を開催した。予てから「1万人の信者数を達成した都道府県に韓鶴子総裁が赴き、孝情文化フェスティバルを開催する」としていたが、韓鶴子は来日せず、自身の“代身”として送った娘の文善進世界会長がメインスピーカーを務めた。  この式典にもやはり多くの自民党国会議員が参列。来賓として紹介されたのは埼玉の2万人大会に祝電を贈った逢沢一郎(岡山1区)の他、現法務大臣の山下貴司衆議院議員(岡山2区)、北村経夫参議院議員、そして当時の現役閣僚・厚生労働大臣の加藤勝信(岡山5区、自民党岡山県連会長、現自民党総務会長)。加藤は秘書を代理出席させ、自身が贈った祝電も読み上げられた。加藤大臣の祝電には「心よりお喜び申し上げます」「敬意を表し感謝を申し上げます」などの文言があった。  他に祝電を贈った国会議員として橋本岳衆議院議員(岡山4区)も紹介された。  北村は、本連載で触れてきたように安倍首相の依頼によって統一教会が投じた組織票の上乗せで2013年の参院選において初当選した議員だ。当選後数年は教団サイドからのアプローチを無視していた北村だが、今夏の参院選への危機感からか17年以降、教団イベントへの積極的参加が目立つ。安倍政権と統一教会との関係を象徴する政治家である。
加藤、山下、北村

両閣僚に加え北村経夫(右)も統一教会詣でに励む(PeaceTVより)

 そのほか、26人に及ぶ地方議員の名も読み上げられた。これらの地元の県議会議員や市議会議院は来賓として出席しただけではなく、自然災害直後の同大会の開催について教団地区長や教区長にアドバイスをしていたことが発覚している。
地方議員26人

統一教会イベントに来賓出席した地方議員26人(PeaceTVより)

 そして来賓代表として登壇し祝辞を述べたのが衆議院政治倫理審査会会長の逢沢一郎だ。逢沢は以下の発言でリップサービスに勤しんだ。 「ジップアリーナがこんなに大勢の人で、ご来会の方で超満員になったのは私、逢沢一郎は初めて、初めて拝見をいたしました!新記録であります!感動いたしております!」 「このピースフェスティバルが復興復旧の力になるように」 「徳野先生、会長からもご紹介がございました、総裁より本当の高額な多額な心のこもったご奉仕をいただきましたことご寄付をいただきましたことをわたくしからも厚く御礼申し上げます!」 「昨年12月の大会でもご報告した、NYで国連事務総長に会って直接、岡山での平和宣言採択をご報告させていただきたい」 「日韓トンネル構想も具体化の道筋が見えつつある」
逢沢一郎

議員を引き連れ入場、祝辞を述べる逢沢一郎・衆議院政治倫理審査会会長(PeaceTVより)

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日本を「赦すことのできない民族」と言った韓鶴子総裁を崇める議員
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