難民申請が認められず無期限収容、精神崩壊まで追い詰められたクルド人男性

問題があるから、難民だから帰れないで日本にいる

 Hさんの妻が胸の内を語ってくれた。 「Hは本当に優しい人だった。ここのところ心配で、週に2~3回は面会に来ているのですが、まるで私のことを忘れちゃったみたいです。娘のことだけを見て、たまにガラス越しで遊んでるみたいな感じ。私が話しかけてもあまり反応しなくなりました。こんな状態で、もし解放されたとしてもどうしたらいいの。元の生活に戻ることはできなくなってしまった……」  妻はさらに続けた。 「外国人、悪い人じゃない。問題があるから、難民だから帰れないで日本にいる。家族をバラバラにするの良くない。娘もパパがいないことに気づき始めている。どうか皆さん、手伝って。お願いします」  Hさんの担当弁護士の大橋毅氏は「もともと精神疾患のある人を収容するのはおかしいし、しかも長期収容するというのはもっとおかしい」と語る。  Hさんが収容されて1年半が過ぎようとしているが、いまだ愛娘を抱きしめることができずにいる。トルコに帰ることもできないというのに、これ以上の収容は無意味ではないのだろうか。いったい、いつまでこの状況が続くのだろうか。 <文/織田朝日>
おだあさひ●Twitter ID:@freeasahi。外国人支援団体「編む夢企画」主宰。著書に『となりの難民――日本が認めない99%の人たちのSOS』(旬報社)など。入管収容所の実態をマンガで描いた『ある日の入管』(扶桑社)を2月28日に上梓。
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