<1問目> まず冒頭の1問目で小川議員は河野談話(1993年に慰安婦問題に関する旧日本軍の関与を認定した河野洋平官房長官の談話)に対する安倍総理の認識を確認する。
小川議員:
「慰安婦問題。まさにアメリカの下院について、この慰安婦について日本国が謝罪すべきだというような決議案が出るかもしれないというような状況になってございます。総理はこの慰安婦問題について国の責任を認めた宮澤内閣時代のこの河野官房長官談話についてまずどのようにお考えですか。」
安倍総理:
「
この談話につきましては先の国会で答弁をいたしましたようにこの河野官房長官談話ということにつきましては基本的に継承していくということを申し上げているわけであります。(青信号)」
河野談話を「継承していく」と回答しており、
青信号とした。
<2問目>
1問目で河野談話に対する総理の認識を確認した上で、小川議員は論点を安倍総理の「強制はなかった」発言に移していく。
小川議員:
「最近、総理は「強制はなかった」というような趣旨の発言をされましたか。この慰安婦の問題について。」
安倍総理:
「
その件につきましても昨年の委員会で答弁した通りでございまして、この議論の前提となる私がかつて発言をした、いわば教科書に載せるかどうかという時の議論について私が答弁をしたわけでございます。
そして、その際私が申し上げましたのはですね、いわば狭義の意味においての強制性について言えば、これはそれを裏付ける証言はなかったということを昨年の国会で申し上げたところでございます。(赤信号)」
2つの
論点すり替えが行われており、全て赤信号とした。
●1段落目
小川議員の質問:「強制はなかった」発言の有無
↓すり替え
安倍総理の答弁:「教科書に載せるか」の議論
●2段落目
小川議員の質問:「強制はなかった」発言の有無
↓すり替え
安倍総理の答弁:強制を証明する証言の有無
また、2段落目で「裏付ける証言は無かった」と答弁しているが、あえて
狭義の強制(官憲による強制連行)に限定している。
<3問目>
安倍総理が2問目に答えなかったため、小川議員は「3月1日」と具体的に日付を具体化した上で再度同じ内容を質問。
小川議員:
「この3月1日に「強制はなかった」というような趣旨の発言をされたんじゃないですか。」
安倍総理:
「
ですから、この強制性ということについてですね、何をもって強制性ということを議論しているかということでございますが、いわば官憲が家に押し入っていって人を人さらいのごとく連れていくという、そういう強制性はなかったということではないかと。こういうことでございます。(赤信号)
そもそも、この問題の発端としてですね、これは確か朝日新聞だったと思いますが、吉田清治という人が『慰安婦狩りをした』という証言をしたわけでありますが、この証言は全く、後にでっち上げだったことが分かったわけでございます。つまり、発端はこの人がそういう証言をしたわけでございますが、今申し上げましたような顛末になったということについてですね、(黄信号)
その後、いわばこのように慰安婦狩りのような強制性。官憲による強制連行的なものがあったということを証明する証言はないということでございます。(赤信号)」
1段落目と3段落目は論点すり替えが行われており、
赤信号とした。ちなみに2問目と同様に狭義の強制(官憲による強制連行)について述べている。
1段落目
小川議員の質問:「強制はなかった」発言の有無
↓すり替え
安倍総理の答弁:人さらいのような強制の有無
3段落目
小川議員の質問:「強制はなかった」発言の有無
↓すり替え
安倍総理の答弁:強制を証明する証言の有無
2段落目は質問に関係する背景や経緯(吉田清治氏に関する内容)を述べており、黄信号とした。
結局、
安倍総理は「強制はなかった」発言に関する2回にわたる質問(2問目、3問目)に一言も回答しなかった。
<4問目>
安倍総理が「証言はない」という趣旨の答弁を繰り返す中、小川議員は米国議会での慰安婦の証言に論点を移す。
小川議員:
「今、『証言はない』と言いましたね。しかし、実際に、このアメリカの下院において、アメリカ合衆国の下院において慰安婦をされていた方がそういう強制があったという証言をしている。だから下院で決議案が採択されるかどうかということになっているんじゃないですか。今、『証言がない』とおっしゃいましたね。実際にそういう体験をしたというふうに証言している慰安婦が現にいるわけですよ。そういう人たちの発言は証言じゃないんですか。
安倍総理:
「
いわば、裏付けのある証言は無いということでございます。(青信号)
証言といえば、先ほど申し上げましたように、吉田清治氏の証言も証言じゃないんですか。全くこの人の証言はでっち上げだったということでございます。(赤信号)」
1段落目、米国議会における慰安婦の証言は「裏付けのある証言ではない」という安倍総理の認識がはっきりと確認できる。この発言の是非は別として、質問には回答しているため
青信号とする。
一方、2段落目はあからさまな論点すり替えが行われており、
赤信号とした。
小川議員の質問:慰安婦の証言
↓すり替え
安倍総理の答弁:吉田清治氏の証言