話している相手の視線の外し方に注目すれば「気の利く人」になれる

斜め上は、時間が気になる人のしぐさ

 相手が上に視線を外す場合には、何かを考えていたり、思いあぐねている場合が多い。そんなときに、相手に考える余裕や時間を与えずに、こちらが話し続けたり、声をかけたりすると、相手は心地よく思わない。  相手が斜め上に視線を外す場合には、他のことに気をとられていたり、斜め上に時計がある場合などは特に、時間が気になっていることがある。それに気づかなかったり、無視して、話し続けていくと、相手は時間が気になりそわそわしてしまったりする。  視線を横に外している場合は、意見が一致していない、抵抗感を覚えているということがある。また、斜め下に外している場合は、自信がないと感じていることがある。  下にしっかりとうなずくように視線を外して自信をもって相手を巻き込む動作とは異なり、確定情報ではないというニュアンスが伝わりやすい。そんなときに、「何か気がかりな点がありますか」と聞いてあげれば、相手は安心してその懸念を話してくれるかもしれない。

視線を外す方向に含まれる意図とは

 質問:視線の動きから相手の反応を読み取れるか  視線を外す方向の違いにより、異なる意図が伝わるのであれば、仮に無意識の動作であったとしても、相手がどの方向に視線を外したかによって、相手の反応を読み取れるのでしょうか?  回答:相手の視線の動きに対応する  相手が、上に視線を外したのであれば、「何か考えている」という反応を示していると受け取れます。だとすれば、話すペースを落としたり、一旦話を停止したりして、相手に考えてもらう時間をつくるということは得策です。  相手が斜め上に視線を外したとすれば、「時間を気にしている」という反応を示している可能性があります。「お時間大丈夫でしょうか」と聞いてみることも一方法です。  相手が横に視線を外したのであれば、「反対意見を持っている」かもしれません。「この意見について、どう思いますか」と聞いてみることはお勧めです。  相手が斜め下に視線を外したのであれば、何か考えているけれども「自信がない」ということかもしれません。「何か気になっていることがありますか?」と聞いてみるとよいと思います。  そうすることで、相手の反応を先取りした対応をすることができます。相手から、「気の利く人だ」「私の気持ちをわかってくれる人だ」という印象を持ってもらいやすくなります。 【山口博[連載コラム・分解スキル・反復演習が人生を変える]第133回】 【山口 博(やまぐち・ひろし)】グローバルトレーニングトレーナー。モチベーションファクター株式会社代表取締役。国内外企業の人材開発・人事部長歴任後、PwC/KPMGコンサルティング各ディレクターを経て、現職。近著に『チームを動かすファシリテーションのドリル』(扶桑社、2016年3月)、『クライアントを惹き付けるモチベーションファクター・トレーニング』(きんざい、2017年8月)がある
(やまぐち・ひろし) モチベーションファクター株式会社代表取締役。国内外企業の人材開発・人事部長歴任後、PwC/KPMGコンサルティング各ディレクターを経て、現職。近著に『チームを動かすファシリテーションのドリル』(扶桑社新書)、『クライアントを惹き付けるモチベーションファクター・トレーニング』(きんざい)、『99%の人が気づいていないビジネス力アップの基本100』(講談社+α新書)、『ビジネススキル急上昇日めくりドリル』(扶桑社)がある
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