福島労働局は3月末、福島第一原発で廃炉作業を行う事業者に対する監督指導の結果を公表した。監督を実施した290社のうち、53.1%で違反があったという。内訳は、被ばく線量測定結果の確認・記録を怠ったなど安全衛生関係が65件、割増賃金の支払いなど労働条件関係が250件だった。
「福島第一原発構内での作業は、少しのミスが生死に直結しかねない危険なものです。法令を100%順守しても安全だとは言い切れないのに、現に半数以上の事業者が法令違反をしている。このような状況で外国人労働者の安全を担保できますか」(佐々木書記長)
そもそも、原発事故の責任は日本社会で負うべきだ。事故の処理に当たる人手が足りないからといって、外国人に押し付けることが許されるはずはない。指宿弁護士はこう語る。
「国際社会からの非難は免れないと思います。日本の原発事故は、日本のみならず、世界の環境に悪影響をもたらしました。日本社会が責任をもって収束させるべきでしょう。結局、日本人がやりたがらない仕事を外国人にやらせたいということでしょう。そうした今回の件で、そうした本音が露わになったと思います。日本として本当にこのような姿勢でいいのかどうか考え直すべきでしょう」
<取材・文/HBO取材班>