ギャンブル依存症における「自己申告・家族申告プログラム」は本当に依存症の抑止力になるか

当面の問題点は三つある

 パチンコ店が実施している、「自己申告・家族申告プログラム」の当面の問題点は3つ。 ①店舗スタッフは対象者の遊技を強制的に止めさせる事は出来ない ②申告した店舗でのみ効力を発揮するため、近隣店では遊技可能 ③家族申告プログラムは、本人の同意が必須  ③については、今回の基本計画の策定により、パチンコ業界としても1年以内に実施していくであろう。問題は①と②であり、この点についても基本計画では言及している。それは、顔認証システム等を使った入店遊技制限や、近隣店舗を含む複数店舗一括申込型へのプログラム改善である。  顔認証システム等を利用した入店制限や遊技制限に関しては、設備導入の問題もあり、ある程度の期間や費用が必要になるが、2021年までにはその導入の検討を始めなくてはならない。

店側には申告者の遊技を止める権限がない

 その上で、「自己申告・家族申告プログラム」の最大の問題点は、パチンコ店は申告者の遊技を強制的に止められない、というところにある。  申告者との様々なトラブルを避けるためでもあるが、自己申告プログラムの申込書には、「私は、申告上限値を超えたことを告知された日の遊技については、自己責任で判断します」とのチェック項目があり、店舗側は遊技中止の強制力を保有せず、すべては「自己責任」での判断になるのだ。  この問題の解決には、今の「スタッフによる声掛け」等では限界がある。例えばたばこ自動販売機のタスポのような必須とならざるを得ない。  現在、メーカーと警察庁が相談しながら開発していると言われる「管理遊技機」が導入される際には、設置即実施とはいかないまでも、将来的に運用が可能なタスポのような自己認証システムが搭載される可能性が高い。  今後、カジノが開業されれば、より一層の依存対策が声高に叫ばれる。その時までに、パチンコ業界がこの遊技抑止システムを開発実施出来るのか。業界が乗り越えるべきハードルは常に高い。 <文・安達 夕 @yuu_adachi
Twitter:@yuu_adachi
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