「妻の仕事を代わってあげている」程度の認識の自称イクメンは、やがて家族を虐待し始める
1999年、厚生省(当時)は、
「育児をしない男を父とは呼ばない」とのポスターを作成、公表し、賛否両論を巻き起こした。まだ、「イクメン」という言葉が生まれる前の話だ。
それから20年、日本に「父」は一向に増えない。多くの日本男性は、いまだ「育児をしない男」である。父が増えなければ、子も増えない(少子化)のは当然だろう。そして、「父になれない男」の多くは、モラ夫に違いない。
妊娠、出産は、夫婦の危機である。妊娠出産によりモラスイッチが入ることも少なくない。多くのモラ夫たちが不倫に走るのも、この時期だ。
高学歴で、有名企業に勤める30代初めの男性は、第1子の出産が近づく妻に対し、「俺は、父親になれない」「その子は、俺の子じゃない」と言い続けた。妻に不審な点があったのではない。どうしても父になる覚悟がつかなかったのである。妻が里帰り出産の間、彼は、昔の女友達と遊んで気を紛らわしていた。
他方、日本では少数ではあるが、「父になる」男たちもいる。その多くは、健全男子/非モラだろう。しかし、育児をする男の中にも、相当数のモラ夫がいる。日本社会の闇は深い。
まず、「育児をしている」と主張するが内容の伴っていないモラ夫たちがいる。自称「イクメン」だ。
モラ夫にとって、針を棒(つまり、針小棒大)は、朝飯まえだ。いや、針ほどあれば、大木と言い張るかも知れない。 しかも、保育園の送り迎えをするだけで、世間から「偉いわねぇ」「イクメン!」とおだてて貰える。つまり、日本の男たちは、社会から徹底的に甘やかされているのである。その結果、モラ夫たちは、自分でも「俺はイクメン」と信じてしまう。
私の知る限り、このような自称「イクメン」は、相当数に上る。
「育児を分担していました!」と言うので、聞いてみると、モラ夫の育児は、だいたい風呂、育児指令、そして、公園に連れて行く程度のことが多い。
風呂の場合、まず、夫が風呂に入り、妻が子どもを裸にして夫に渡す。夫が子どもを洗い、風呂につからせ、裸のまま妻に返す。妻は、体をふき、服を着せる。夫は、確かに風呂には入れているが、「イクメン」と威張る程のものではない(そもそも、育児は、父として当然のことであって、威張るものではない)。