「ラブライブ!」公式サイト乗っ取りから考える、ドメインの持ち主は変わるという事実

勝手に他人の電話番号に書き換えられた電話帳状態!?

 さて、当たり前のように「汎用JPドメイン」と書いたが、ドメインという言葉を知っている人ばかりとは限らないだろう。ドメインとは、WebサイトのURLに出てくる「google.com」「hbol.jp」のような部分だ。  インターネット上の場所は「123.123.123.123」のようなIPアドレスになっている。しかし、それでは分かり難いので、人間が分かりやい「google.com」「hbol.jp」のような名前が付けられている。こうした名前をドメインと言う。このドメインにアクセスすると、IPアドレスの場所に自動的に繋がるようになっている。  これは電話帳アプリで名前を選ぶと、電話番号が呼び出されて電話が繋がるようなものだ。インターネットでは、この電話帳アプリに相当するものが、ドメインネームサーバー(DNS)になる。このサーバーに問い合わせると、ドメイン名からIPアドレスが判明して、そのアドレスのサーバーを呼び出せるわけだ。  先の「ラブライブ!」の公式サイトの乗っ取りは、電話帳アプリの情報を書き換えて、「ラブライブ!」の電話番号を、他の人の電話番号に変えたような状態だったわけだ。  ドメインは、インターネット上で同じものは存在しない。そのため、正しいドメイン名を入力すれば、対応したIPアドレスに導かれる。「hoge.example.com」のようなドメインは、右側が大分類(ルートに近い)で、左に行くほど細かな分類になる。そして右側のドメインには種類がある。  よく見る「.com」や「.net」は、「gTLD」(generic top level domain)というものだ。ジェネリックとは「汎用」という意味になる。gTLDは数多くあり、教育機関向けの「.edu」、モバイル向けの「.mobi」、変わったところではアダルトサイト向けの「.xxx」もある。  次に日本を表す「.jp」や、中国を表す「.cn」などは、「ccTLD」(country code top level domain)、汎用JPドメインと呼ばれる。企業向けの「.co.jp」、財団法人など組織向けの「.or.jp」、教育機関向けの「.ac.jp」などは、属性型JPドメインという。この種の「.○○.jp」形式のものには地域型JPドメインなどもある。

放棄されるドメイン、売買されるドメイン

 こうしたドメインは、一度取れば永続的に利用できるものではない。お金を払って維持しなければ権利は失われる。そのため、期限切れのドメインが放出されることもある。また金銭によって売買されることも盛んに行われている。  SEO的に優良なドメインを購入して、自社の活動に役立てるケースもある。こうした売買の実例として、最近では株式会社ピースオブケイクが「note.com」「note.jp」を取得した件が話題になった。ドメイン購入のやり取りが明かされており面白い記事だ。  また、フィッシング詐欺サイトの運営者などが、過去のドメイン名で訪れる人を見込んで、罠を仕掛けることもある。検索エンジンで調べ物をしている際、検索内容と無関係なページが表示されることがある。そうした場合にこうしたケースがあるので注意が必要だ。  短いドメインは人気なので、世の中には3文字ドメインや4文字ドメインを検索するサービスが色々とある。そうしたものの1つも紹介しておこう(短いドメイン検索サービス)。また、期限切れドメインをリストアップして紹介しているサイトも存在している(Expired Domains)。  ドメインだけでなくサイト自体も盛んに売買されている。「サイト売買」でネット検索すれば、多くの業者が表示される。こうした売買については、拙作『顔貌売人 ハッカー探偵 鹿敷堂桂馬』にも書いている。
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乗っ取られれば悪用される「ドメイン」
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