家庭教育支援法制定をめぐる勝共連合の策動<政界宗教汚染〜安倍政権と問題教団の歪な共存関係・第10回>

スパイ防止法を思い起こさせる一連の動き

 全国で展開される勝共連合による一連の動きから連想するのは、1970年代後半から80年代に同連合が牽引したスパイ防止法制定をめぐる策動だ。勝共連合は79年に「スパイ防止法制定促進国民会議」を結成後、各県に「スパイ防止法制定促進県民会議」そして県下の市町村に運動体を作り、各地方自治体への働きかけを行った。同法案事態は廃案となったものの、同種の法案が特定秘密保護法として法令化された。  国際勝共連合のHPには以下の記載がある。 「共産主義国による間接侵略の危機から日本を守るため、1978年にスパイ防止法制定3千万人署名国民運動を展開し、翌79年にはスパイ防止法制定促進国民会議の創設に加わった。都道府県会議を全国で設置、署名運動のほか地方議会における同法案制定請願運動の先頭を切って奮闘し、スパイ防止法案制定に向け一大国民運動を展開した」  国際勝共連合はスパイ防止法の制定を諦めていない。スパイ防止法制定促進国民会議のサイトは現在も更新されている。
スパイ防止法制定促進国民会議のサイト

スパイ防止法制定促進国民会議のサイト

宗教右派による草の根運動、日本会議系人脈との交流も

 一連の勝共連合による運動は、著述家の菅野完がハーバービジネスオンラインでの連載『草の根保守の蠢動』及び著書『日本会議の研究』で記した日本会議の中枢・日本青年協議会椛島有三事務局長による策動との近似性が感じられる。市民団体を装い地方議会へ陳情を上げ採択させ中央へ圧力をかけていく運動論を勝共連合も取り入れたのだ。  宗教右派による草の根運動には、生長の家原理主義=日本青年協議会=日本会議という本流の他に原理研究会=統一教会=国際勝共連合という流れもあった。この二者は人的交流で協調しながら連携し、また別働隊として正体を隠し、それぞれの野心のために一方は政権への影響力を保持しようと画策、また一方は政権と取引し下支えしている。  人的交流として近年、最もその動きが目立つのが「親学」の提唱者である高橋史朗だ。日本会議のキーマンとしても名が挙がる高橋は18年3月、山梨県で統一教会系政治組織「アジアと日本の平和と安全を守る山梨県フォーラム」などが主催した講演会のメインスピーカーとして登壇、今年3月には世界日報Viewpointに「家庭教育支援法の制定急げ」と題した記事を寄稿している。
Viewpointに掲載された高橋の記事(左)と統一教会系政治組織などが開いた高橋の講演会

Viewpointに掲載された高橋の記事(左)と統一教会系政治組織などが開いた高橋の講演会

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教団との関係が深い自民党内プロジェクトチームの面々
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