このように、何か事件が起きた時に「悲観的な解釈」を「楽観的な解釈」に変えてポジティブ思考になるための方法として、セリグマン教授が開発したメソッドが「ABCDEモデル」です。「ABCDEモデル」とは、何か失敗したときやイヤなことが起こった際、下記のような対応をするモデルです。
その「困った状況(Adversity)」を紙に書く
次にそれによって自分が抱いた否定的な「思い(Belief)」を書いてみる
そして、その「結果(Consequence)」として、自分がどうなったかを記載する
その後、その「思い」に対する「反論(Disputation)」を検討し、記載する
こうした反論により、自分を「元気づけ(Energization)」る
これらの頭文字をとって「ABCDEモデル」と言います。セリグマン教授によれば、この方法によって、実際に数千人以上が悲観主義者から楽観主義者に変身を遂げることに成功しているそうです。
このメソッドの最大のポイントは、「反論(Disputation)」というフェーズです。反論の考え方として、大きく2つの視点があります。
1.そもそも、その解釈は「正しい」のか? その思いに根拠はあるのか? 本当に別の解釈はできないか?
2.その解釈は「有効」なのか? そう思うことで何かメリットはあるか? 別の有効な考え方があるのでは?
具体的に、この「ABCDEモデル」を、○さんに借りたイヤリングを無くしてしまった×さんの例をとって見てみたいと思います。
A.「困った状況」:○さんから借りた高価なイヤリングをなくしてしまった。
B.「思い」:私はなんて無責任なんだ。○さんはきっとすごく怒るだろうし、それも当然だ。もう絶交だと言われるかもしれない。
C.「結果」:茫然として○さんに電話をする勇気もなく、ふさぎこんでいた。
D.「反論」:○さんは果たしてそんなことで怒るような人だっただろうか。勿論がっかりはするだろうけど、きっと事故だってことはわかってくれるはず。これまでの友情を考えたら、たったこれだけのことでAさんが絶好するまで言うことはないだろう。悪意があってやったわけじゃないのだから、自分のことをそこまで無責任だと思うのは間違っている。
E.「元気づけ」:イヤリングをなくしたのは本当に申し訳ないと思うけど、これで友情が終わってしまうとは思わない。まずは○さんに謝罪の電話をかけよう。