コロンビアの麻薬組織が「スマート」化。市場を欧州に求め復活の兆し

コロンビアの麻薬業者ボス

逮捕されたホセ・バイロン・ピエドゥライタは牧畜業で成功しているビジネスマンでもあった。彼について報じる「Infobae」紙

「スマート」になるコロンビアの麻薬組織リーダー

 水面下において世界規模で深刻な社会問題となっている麻薬の蔓延化。米国と同様にヨーロッパでも麻薬の浸透は同時に犯罪の多発化を誘っている。その2大供給拠点はメキシコとコロンビアである。  コロンビアの麻薬組織カルテルの最近のリーダーたちは一見成功している企業家といったイメージを社会に与え、嘗ての血で血を洗うマフィアのリーダーといった様相とは全く異なった姿で登場しているのが注目されている。そして彼らは金融操作などにも詳しく、また邪魔な人物は嘗てのような拳銃で殺害するというのではなく、お金で誘う手段を選んでいるという。(参照:「Infobae」)

コロンビアからメキシコへ、麻薬供給国の世代交代

 麻薬が世界規模で普及を始めたのは1980年代である。それに貢献したのがコロンビアの当時最大のカルテル「Cartel de Medellín」であった。そのリーダー、パブロ・エスコバル(Pablo Escobar)は麻薬王と呼ばれ、現在米国の刑務所に収監されているメキシコ人エル・チャポに匹敵する、あるいは彼以上の影響力を持っていた人物であった。  エスコバルの生活ぶりは豪華で、米国やアフリカから珍しい動物を輸入して自分だけの動物園をつくり、世界のクラシックカーのコレクションにも熱中していた。彼にとって邪魔な人物は容赦なく殺害した。  彼は1993年にコロンビア軍に包囲されて銃撃戦で死亡した。また、彼と同様に当時活躍していたのは「Cartel de Calí」のロドリゲス・オレフエラ(Rodriguez Orejuela)兄弟であった。しかし、この兄弟も1995年に逮捕されてからはコロンビアからは絶対的影響力をもったリーダーがいなくなっていた。しかも、カルテルの組織も次第に小規模化していった。  その間に、コロンビアの麻薬の中継地として存在していたメキシコが麻薬消費国として最大の市場を抱えた米国を隣国に控えているという地理的条件からメキシコがコロンビアに代わって米国への麻薬供給国として成長するのであった。その一貫で頭角を現したのがエル・チャポであった。
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カルテル弱体化でも、コカイン生産量が衰えなかったワケ
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