大阪維新は住民を分断して、対立感情を煽っている。今回私は大阪を取材し、「日刊ゲンダイ」のルポにも書いたが(参照:
”大阪市が消える日”–日刊ゲンダイ)、自分たちのやり方に賛成するのは「味方」、反対するのは「敵」という発想なので、
選挙違反を繰り返そうが、デマを拡散させようが、選挙に勝てばうやむやになると思っているフシがある。
だから地道に政策の説明をするより、社会に一定の割合で存在する
「正常な判断ができない人」を騙し切ろうとしている。
ネット上のデマに流されるのではなく、現実を直視すべきだ。
各種数値を見れば、大阪維新により、大阪は明らかに悪くなっている。
2018年の犯罪ランキングは、全国47都道府県中、大阪は最下位。福祉・インフラ・子どもの生活ランキングも最下位。幸福度ランキングは43位。経済指標も全国と比べて悪化、現金供与総額の動きも、全国の平均を下回っている。
大阪維新の目的は、政令指定都市である大阪市を潰し、その財源を利用することである。橋下徹も「
大阪市が持っている権限、力、お金をむしり取る」(「読売新聞」2011年6月30日)と言っているが、大阪市民はカネも自治も失い、行政サービスも低下する。
維新が拡大すれば、大阪市は消滅する。法定協議会の資料にも大阪市のHPにもそう書いてある。
しかし、大阪維新は『(大阪市の)土地や街並みがなくなるわけじゃない』と
バカバカしい喩えで誤魔化そうとする。連中は大阪の住民を完全にバカにしてるのだ。松井は「制度を見直すだけで、大阪市がなくなるというのは印象操作」などと言っていたが、印象操作をしているのは松井である。大阪維新は最後まで嘘をつきとおす算段なのだろう。そして大阪の住民を騙し、
選挙を乗り越えたら「信任を得た」「お墨付きをもらった」と言って、大阪市という巨大都市を解体するのだろう。
こうした手法が全国に拡大すれば、どうなるのか?
まだ間に合う。悪の拡大を防がなければならない。
<文/適菜収>
てきなおさむ●1975年山梨県生まれ。作家。哲学者。大衆社会論から政治論まで幅広く執筆活動を展開。近著に『
小林秀雄の警告 近代はなぜ暴走したのか』(講談社+α新書)他、『
日本をダメにしたB層の研究』『
日本を救うC層の研究』(ともに講談社)『
バカを治す』(フォレスト出版)など多数。山崎行太郎氏との対談本に『
エセ保守が日本を滅ぼす』(K&Kプレス)も好評発売中