選挙情報サイト、閲覧には注意が必要なものも。公平性について課題

 統一地方選を前に、候補者の情報を集め始めている人もいるだろう。選挙区ごとに候補者や政策を一覧できるサイトを利用している人もいるかもしれない。しかし情報サイトの中には、閲覧に注意が必要なサイトもあるようだ。

有料会員ならプロフィールや政策を掲載

 情報サイト「選挙ドットコム」には、全国の選挙スケジュールが網羅されており、そこから候補者一覧を閲覧することができる。また政治家のデータを所属政党や地域、性別から検索することも可能だ。選挙にまつわるコラムも掲載されており、有権者が選挙の情報を得るのに便利なサイトだといえる。  ただし全ての政治家の情報が同じように掲載されているわけではない。有料の「ボネクタ会員」の方が、情報の更新が早く、情報の量も多いのだ。  「ボネクタ会員」とは、初期費用や月額料金を支払って、同サイトにプロフィールや政策を掲載している議員や候補者のことだ。初期費用は一律3万円で、月額料金は国会議員で1万円、中核市・区で4800円となっている。ただ12か月以上継続して契約する必要があり、初期費用は国会議員で15万円。他にも、選挙区ターゲティング広告や、PR記事、有料広告などのオプションがある。  有料登録している政治家なら、自身の情報をその都度更新することができる。しかし課金していない政治家や候補者の場合は、古い情報がそのまま掲載されていることがある。目黒区議会の西崎つばさ議員(35)は3月19日の時点で、自身の所属政党が「民主党」になっていたことを発見。サイトに直接問い合わせ、「立憲民主党」に訂正してもらったという。  西崎議員は、こうしたサイトの運営が、有権者の投票行動に影響を与えてしまう危険があると懸念する。 「統一地方選を前に、すでに有権者の方々はインターネットで情報を集め始めています。候補者がこのサイトに掲載されていない、掲載されている情報が誤っているということが有権者の方の投票行動に影響を与えかねません。情報には正確を期してほしいですね」

告示日以降の掲載も有料会員が優先

 同サイトでは、全国の選挙管理委員会から候補者の情報と選挙結果を直接収集し、データベースに掲載している。今回の統一地方選挙では、候補者の数が多すぎて、公示日に全ての候補者を掲載するのが難しい。そのため、ボネクタ会員から優先して掲載するという。  同サイトは3月25日、「統一地方選挙における候補者情報の掲載につきまして」というお知らせを掲載。こう説明している。 「統一地方選挙では、日本全国で900件以上もの選挙が行われ、特に3月29日からの選挙では非常に多くの候補者が予想されます。そのため(中略)告示日直後に全ての候補者情報の掲載を行うことが難しい状況です」 「告示日からサイト上への掲載に数日かかる場合がございます」 「告示直後に最新情報の掲載をご希望の場合は(ボネクタ)のご利用をご検討いただければ幸いです」  全ての候補者の情報を一切に掲載することはできない。そのため、同サイトに有料会員登録しているボネクタ会員と本人から申し出のあった議員から順次掲載するという。これでは有権者が候補者の一覧を閲覧しても、全ての候補者が掲載されていないということになりかねない。
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なぜ情報の偏りがあるのか、有権者に分かりづらい
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