賛否を呼ぶ「高輪ゲートウェイ駅」。「新駅名撤回」を求めるそれぞれの理由
山手線の新駅名「高輪ゲートウェイ」が賛否両論を呼ぶなか、「山手線新駅の名称を考える会」は3月27日にJR東日本に対して新駅名の撤回を求める署名と「山手線新駅の名称に関する緊急提言」を提出するとともに、都内で記者会見を開いた。
賛否両論を呼ぶ新駅名。会見におけるエッセイスト、日本語学者、地図研究者ら各人の「反対理由」を見ていきたい。
まずは「高輪ゲートウェイ駅」の概要について簡単に再確認しておこう。
高輪ゲートウェイ駅は山手線・京浜東北線の田町から品川間(東京都港区)に開設される新駅だ。
新駅は田町駅から約1.3キロメートル、品川駅から約0.9キロメートル付近に建設されており、東京オリンピックを前にした2020年春に暫定開業する予定。開業後は山手線、京浜東北線が停車することになる。山手線の新駅開業は1971年に開業した西日暮里駅以来、約50年ぶり。国鉄民営化後は初のこととなる。
新駅の建築デザインは建築家の隈研吾氏で、折り紙をモチーフにした大屋根が特徴。また、照明デザインは、照明デザイナーの面出薫氏で、コンセプトに「街のランドマークとなる暖かな光の駅舎」を掲げ、照明により柔らかな光に包まれたコンコースをつくるという。
新駅周辺では、国家戦略特別区域の特定事業としてJR東日本主導による国際ビジネス交流拠点の整備を目的とした再開発プロジェクト「グローバルゲートウェイ品川」が進められており、新たな「玄関口」としての役割が期待されている。新駅の全面開業は、この「グローバルゲートウェイ品川」の街びらきが行われる2024年の予定となっている。
さて、今回の新駅開設に際してJR東日本が2018年6月5日から約1ヶ月間実施した駅名公募では、全国から64,052件、13,228種類の「新駅名候補」が寄せられた。新駅名として「高輪ゲートウェイ」が発表されたのは2018年12月4日のこと。公募の1位は「高輪」(8398票)で、以下「芝浦」「芝浜」で、「高輪ゲートウェイ」は130位(36票)だったという。新駅の建設計画が明るみになって以降、高輪・白金周辺の商店街では「高輪駅」を推す声が強く、「新駅はたかなわ」というポスターも掲出されていた。新駅名は高輪に決まると思っていた人が大半だっただけに、発表直後から賛否を呼ぶこととなり、12月中に「高輪ゲートウェイ駅撤回運動」まで起きる事態に発展した。
「山手線新駅の名称を考える会」がインターネットの署名サイト上で実施した新駅名に対する反対署名は、12月から1月までの約1か月間で4万7930件にも達したという。
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建設が進む「高輪ゲートウェイ駅」(2018年撮影)
新駅名は「130位」――開業まで1年を切った「高輪ゲートウェイ駅」
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高輪ゲートウェイ駅の完成イメージ。JR東日本プレスリリースより
波紋を呼んだ新駅名。撤回運動まで発展
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高輪・白金地区の各地に掲げられている「新駅はたかなわ」ポスター。2005年に山手線から引退した205系の写真が使われていることから、かなり前から掲出されていることが伺える
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