泡沫候補のボランティアで選挙ポスターを貼りながら感じたこと

最近のポスターは画鋲いらず

 2日後、自宅にポスターと△△区の掲示板リストが郵送されてきた。掲示板のある場所をどう効率よく回るかを考える「ルート決め」からスタート。××区なら土地勘はあったが△△区の街は土地勘がないので、ある程度計画を立てておかないと迷ったりしそうだと感じる。ある意味、位置ゲーの感覚に近い。  ルート計画を練った日の夜から、さっそく自転車に乗ってポスター貼りに出発! しかしあいにくの雨……まずは自宅付近で貼られていなかった駅前の掲示板に記念すべき初ポスター貼りを実施! 泡沫候補ではあったが、実際にポスターを貼る作業をしていると多くの人が俺に注目してくる。緊張の初貼り。ここから△△区に向かってどんどん貼りに行く。雨が降っていたが、最近の選挙ポスターはシールになっているうえ、防水仕様のため濡れながらでも一切問題ない。貼るボードが多少濡れていようが、きれいに貼れる。ポスターは裏面が両面テープの保護紙のようなものが貼られており、上部を貼ったあと、紙を剥がせばきれいに貼れる。

ポスター上部の横長の剥離紙をはがしてまず貼る

あとは全体の剥離紙を剥がせばきれいに貼れる

 ただ、安いポスターを使用している陣営は、手作業で両面テープを使用したり、画鋲やホチキスで打ち込んだりしている。どんな種類のポスターをどう貼っているのか、また、多くの地域で貼られているかどうかで陣営の予算を大体うかがい知ることができるかもしれない。  とはいえ、自転車で雨の中、入り組んだ都内を地図を見ながら動き回るのは結構な体力を使った。翌日、会社に体調不良で欠勤を伝えなくてはならず、想像以上の消耗だった……本来、余裕があるなら車やバイクでやりたい作業だ。

やってみて思うのだ。これ簡素化できるよな?

 やってみて思うのだ。これって、ほんとに個々のボランティアや労務としてお金を払ってやるべき作業なのかと。特に都知事選という、広大な範囲で行われる選挙の場合、これでは都知事になれる人は「強大な組織力」と「知名度」を持っていないと無理だ。国政選挙の選挙区のほうがはるかに狭い。なんだかモヤモヤするのだ。  さらに考える。現代の技術と、ポスター掲示板の組み立てや撤去をする予算があるならば、そこにポスターを貼る作業を組み込めばいいんじゃないか、と。選挙活動開始前に期限を設けて、その日までに選挙ポスターのデジタルデータを選管に提出すれば、提出された分のポスターデータが連結された大きいポスターを選挙期間前日にベーン! と全掲示板に貼る。なんならポスター掲示板を組み立てるときに同時にやれないものなのか。  電子投票の賛否など、選挙にかかるお金を減らす議論はいくつかあるが、ポスター掲示板の組み立て予算、撤去予算に加え、データ編集・貼り出しの予算が加わるが、選挙公報は平等に作られるのだから、これくらいは平等のためにやったっていいんじゃないだろうか…… <文・佐藤永記(シグナルRight)>
公営競技ライター・生主。シグナルRightの名前で公営競技の解説配信活動「公営競技大学」を個人運営している。また、日刊SPA!のギャンブルコーナー勝SPA!編集担当も。Twitter:@signalright
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