日本の映画料金、世界でもトップクラスに高いのはなんで?

日本の映画料金はいつから上がった?

 最後は「日本の映画料金はいつからそんなに高くなったのか」という問題で締めることにしよう。みずほ銀行産業調査部の作成データによれば急騰した時期は2つあり、ひとつは’70年から80年代初頭にかけて。そしてもうひとつが、バブル期の’89年から’93年にかけてだ。
みずほ銀行によるコンテンツ産業の展望

出典:みずほ銀行産業調査 コンテンツ産業の展望より(※1)

(※1:出典リンク)  最初の高騰の理由は、テレビの急速な普及により、それまで国民最大の娯楽だった映画の需要が落ちてしまったためだ。映画の動員数の落ち込みをフォローする意味で映画料金を上げていっていたら、‘70年頃には一般入場料金550円だったものが、‘80年頃には1400円と、1000円近くも高くなっている。  そして、次はバブル期。この時期は映画料金に限らず、あらゆる物価が上がっていた時期でもあるので「さもありなん」という感じだが、同時にレンタルビデオが活発化しはじめていた時期でもある。  同様に上記グラフを見ると、60年代から急減していた入場者数は、’70年代以降述べ2億人を切った状態での横ばい状態がずっと続いている。筆者自身も、子供だった80年代に映画料金が1000円を超えたころを覚えている。「子供がそんなに手を出せるものではないな」と思い、映画に興味を持てなくなった時期もあった。  その後、大人になると子供時分に観なかったタイプの映画を見始め、再び映画館に通うようになった。しかし、そのころも、「映画館は高いからレンタルまで待つわ」という知人も決して少なくなかった。「もう少し価格設定を抑えてくれていたら、人々が映画館に対してフレンドリーになれたのでは……」と今にして思う。 <取材・文/沢田太陽>
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