メガドライブの時代。スーパーファミコンとは違うもう1つの潮流

確かに存在した「メガドライブの時代」

 さて私事になるが、筆者は『ファミコン』の次に『メガドライブ』を購入した。後期には『メガCD』も入手して、その後『スーパーファミコン』に移行した。  どうして王道だった『スーパーファミコン』ではなく『メガドライブ』に行ったのか。それはソフトウェアの価格が原因だった。  当時、『ファミコン』のソフトは4000~5000円のものが多かった。それに対して『スーパーファミコン』のソフトは1万円に手が届く値段になっていた。まだ学生だった私には辛いものがあった。  また同時期に併存していた『PCエンジン』のゲームも高価なものが多かった。お小遣いが限られている学生には厳しかった。  対して『メガドライブ』のソフトは『ファミコン』程度のものが多かった。そして、中古市場では古いゲームが数100円で出回っていた。安価な新作を買いつつ、格安の旧作で遊ぶ。そうした戦略を採用した私は、マニアックな道に入り込んでしまった。  メガドライブで遊ぶ学生というのは、どこかそうした「王道を踏み外した」ようなところがあったように思う。家庭用ゲームの歴史の中には、『ファミコン』『スーパーファミコン』時代と併存して、『メガドライブ』時代があったのである。

メガドライブの代表作を振り返る

『メガドライブ』の代表作となれば、先述の『メガドライブミニ(仮称)収録タイトル国民投票』で候補タイトルになっていたシリーズだろう。 ●『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』シリーズ * 『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』 * 『ソニック・ザ・ヘッジホッグ2』 ●『ぷよぷよ』シリーズ * 『ぷよぷよ』 * 『ぷよぷよ通』 ●『シャイニング・フォース』シリーズ * 『シャイニング・フォース 神々の遺産』 * 『シャイニング・フォースⅡ 古えの封印』 『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』シリーズは、高速移動が爽快なアクションゲームだ。脳汁が出るようなスピード感が売りである。 『ぷよぷよ』シリーズは、テトリスに代表される落ち物系ゲームの金字塔だ。筆者は一時期、授業中に「ぷよ」の連鎖を脳内で組み立てるほどに遊んだ。 『シャイニング・フォース』シリーズは、シミュレーションRPGの傑作である。私がその後、シミュレーションRPGを個人開発で何作も作るようになった原因の一翼を担うゲームだ。  これらのゲームは、『メガドライブ』ユーザーだった私は、どれも溺れるほど遊んだ。  他にもいくつか記憶に残っているゲームを挙げておこう。ウォーシミュレーションゲームの『スーパー大戦略』(1989年)、アクションゲームの『ゴールデンアックス』(1989年)、落ち物パズルの『コラムス』(1990年)、シミュレーションゲームの『バハムート戦記』(1991年)、RPGの『シャイニング&ザ・ダクネス』(1991年)、シミュレーションゲームの『ポピュラス』(1991年)、RPGの『ランドストーカー 皇帝の財宝』(1992年)。  また、『ベア・ナックル』シリーズや、『ラングリッサー』シリーズも強く記憶に残っている。他にも多くの名作ゲームが、『メガドライブ』で発売された。『ファミコン』や『スーパーファミコン』のルートしか通っていない人には、知らない名前ばかりかもしれない。そして『メガドライブ』のルートを通った人には「なぜ、あのゲームを挙げない」と言いたいことが多々あるだろう。思い出がある人は、Twitterででも呟いて欲しい。  このように、古いゲーム機の復刻により、昔のゲームが見直されている。そうした潮流の中で、こうした時代の様々なゲームが手軽に遊べるようになるとよいと思っている。 <文/柳井政和 photo by Marco Verch via flickr (CC BY 2.0)> やない まさかず。クロノス・クラウン合同会社の代表社員。ゲームやアプリの開発、プログラミング系技術書や記事、マンガの執筆をおこなう。2001年オンラインソフト大賞に入賞した『めもりーくりーなー』は、累計500万ダウンロード以上。2016年、第23回松本清張賞応募作『バックドア』が最終候補となり、改題した『裏切りのプログラム ハッカー探偵 鹿敷堂桂馬』にて文藝春秋から小説家デビュー。近著は新潮社『レトロゲームファクトリー』。
やない まさかず。クロノス・クラウン合同会社の代表社員。ゲームやアプリの開発、プログラミング系技術書や記事、マンガの執筆をおこなう。2001年オンラインソフト大賞に入賞した『めもりーくりーなー』は、累計500万ダウンロード以上。2016年、第23回松本清張賞応募作『バックドア』が最終候補となり、改題した『裏切りのプログラム ハッカー探偵 鹿敷堂桂馬』にて文藝春秋から小説家デビュー。近著は新潮社『レトロゲームファクトリー』。2019年12月に Nintendo Switch で、個人で開発した『Little Bit War(リトルビットウォー)』を出した。2021年2月には、SBクリエイティブから『JavaScript[完全]入門』、4月にはエムディエヌコーポレーションから『プロフェッショナルWebプログラミング JavaScript』が出版された。
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