世論操作は数十セントから可能だった。NATO関連機関が暴いたネット世論操作産業の実態

市場はロシアの業者がほぼ独占

 SNSプラットフォーム各社の努力にもかかわらず、いまだにネット世論操作は安価で効果の大きい方法であることが今回のレポートで明らかになった。このレポートを作ったリサーチャーたちは、想像以上に大きい産業規模と、あまりにもオープンな市場(堂々と広告を出し、外注フリーランスを堂々と募集するなど)であることに驚いたという。たとえばYouTube上のネット世論操作を仕掛ける業者がYouTubeの親会社であるグーグルに堂々と広告を出稿していた。  皮肉なことにダークウェブはもっとも心配のない領域だった。堂々と表で商売できなるらダークウェブを使う必要性はないのだから。  もうひとつ重要な発見として、この市場はロシアの業者が独占していることが書かれていた。主なソフトウェアやインフラ提供業者はロシア由来と識別できたという。 ◆シリーズ連載「ネット世論操作と民主主義」 <取材・文/一田和樹>
いちだかずき●IT企業経営者を経て、綿密な調査とITの知識をベースに、現実に起こりうるサイバー空間での情報戦を描く小説やノンフィクションの執筆活動を行う作家に。近著『フェイクニュース 新しい戦略的戦争兵器 日本でも見られるネット世論操作はすでに「産業化」している――』(角川新書)では、いまや「ハイブリッド戦」という新しい戦争の主武器にもなり得るフェイクニュースの実態を綿密な調査を元に明らかにしている
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いちだかずき●IT企業経営者を経て、綿密な調査とITの知識をベースに、現実に起こりうるサイバー空間での情報戦を描く小説やノンフィクションの執筆活動を行う作家に。
 近著『フェイクニュース 新しい戦略的戦争兵器 日本でも見られるネット世論操作はすでに「産業化」している――』(角川新書)では、いまや「ハイブリッド戦」という新しい戦争の主武器にもなり得るフェイクニュースの実態を綿密な調査を元に明らかにしている