ビジネス至上主義図書館へのアンチテーゼ。福島県矢祭町「子ども図書館司書」の挑戦

人口減少に悩む自治体の「子どもの読書離れ」への挑戦

子ども司書によるビブリオバトル(知的書評合戦)も開催された

子ども司書によるビブリオバトル(知的書評合戦)も開催された

 なお、後半ではビブリオバトル(知的書評合戦)も行われた。『感動のどうぶつ物語』『ジュニア空想科学読本2』『戦国武将大事典』『でんしゃがきた』『レントゲン』などといった本が次々と子供たちによって紹介されていく光景は、読書との距離が近い証左だろう。  短期的ではなく長期的な教育の視点が効果を生み出しつつある。なお、筆者はビブリオバトル普及委員としてこの試みに参加している。ビブリオバトルも文部科学省において「第四次 子供の読書活動の推進に関する基本的な計画」のなかで、「子供の読書への関心を高める取組」として位置づけられている。  矢祭町は少子化の影響、人口流出の影響を受け、人口は6000人を切っている(5789人)。もったいない図書館の「子ども司書」講座は「読書離れ」への挑戦であり、ビジネス至上主義の「TSUTAYA図書館」の動きへの強烈なアンチテーゼとなるものではないだろうか。 <文/松井克明(八戸学院大学講師)>
八戸学院大学地域経営学部講師。行政書士・1級FP技能士/CFP。Twitter IDは@katsu84
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