photo by Juan Kulichevsky via flickr(CC BY-SA 2.0)
2017年11月15日に消息を絶ったアルゼンチンの潜水艦ARAサンフアン。当サイトでも何度もその後の情報について、主にスペイン語圏メディアの情報を報じてきたが、それから1年と1日が経過した2018年11月16日未明にアルゼンチンの沖合500キロ離れた国際水域で、水深907メートルの位置にARAサンフアンの残骸が見つかった。
その探索調査を進めていたのは米国ヒューストンに本部を置く探索専門会社オーシャン・インフィニティー(Ocean Infinity)であった。
この事件は潜水艦が消息を絶ってから常に政府は何かを隠しているというのを死亡した乗組員44名の遺族に感じさせていたという。
当初、日本を含め世界各国から調査船などが参加して探索を進めていた。最後に残ったロシアの調査船ヤンタールはARAサンフアンが消息を絶ったと思われる地点から更に沖合だと見て、アルゼンチン政府にその調査許可を申請したが、同政府は更に沖合の探索を却下した。実際に、ARAサンフアンの残骸が見つかったのは確かにその沖合だったのである。
また、政府は探索調査を外部に依頼することを決めたのも遺族からの強い要求があったからで、しかも、その為の入札を募ったのが昨年5月で応札したのは9社。そして、オーシャン・インフィニティーが落札したのが9月。即ち、入札から落札まで実に5か月が経過していたのである。勿論、それによってARAサンフアンの残骸発見もより遅くなった。
残骸が見つかったのは水深907mということで、遺族はそれを浮上させることを要望したが、理論的には浮上が可能であっても実際には相当の費用と困難を伴うことは明白で遺族は納得しないが内心承知していた。
ところが、オーシャン・インフィニティーが撮った6万7000枚の写真を公開するのに、実に3か月を要したのである。この事件を当初から担当しているマルタ・ヤニェス判事がその理由として挙げたのが、非常に鮮明な画像が見れる20テラバイトで撮られた写真を見るためには特別なソフトウエアが必要で、その購入費用が25000ドル(275万円)するといって、その購入をしぶったのである。
オーシャン・インフィニティーの方ではアルゼンチンがこのソフトウエアーをもっていないということを事前に知らされていなかったという回答であった。
遺族とメディアはヤニェス判事が特別ソフトウエアーの購入を躊躇う姿勢を理解できないと表明した。なぜなら、オーシャン・インフィニティーの探索には750万ドル(8億2500万円)を支払っておきながら、6万7000枚の写真を見るためのソフトウェアの費用25000ドルの購入に抵抗する判事に理解できないと彼らは不満を表明したのである。(参照:「
Clarin」)
ここでも遺族そしてメディアの圧力が功を奏して、ヤニェス判事はアルゼンチンでそのソフトウエアを唯一持っている海面水路サービス局にそれを依頼する旨を表明したのである。それが昨年12月22日のことであった。ところが、実際にその写真が公開されるのにそれからほぼ2カ月待たされたのである。判事の方で海面水路サービス局でそれをもっているということが分かったのは遺族らが写真の公開を強く迫ったことが影響しているようであった。(参照:「
Infobae」)