アルゼンチンが経済破綻寸前!? 危機に瀕するマクリ政権

ブエノスアイレス

ブエノスアイレスの町並み。Image by julian zapata from Pixabay

 3月に入って米誌「フォーブス(Forbes)」はアルゼンチンが経済破綻する寸前にあることを明らかにした。その内容は3月6日、アルゼンチンの主要各紙(電子版)が報じた。(参照:「iProfesional」、「Ambito」、「Perfil」)

負債はGDPの77.4%、3年で3198社が閉鎖

 同誌によると、アルゼンチンは昨年国際通貨基金(IMF)から500億ドル(5兆5000億円)の融資枠を確保し、その3か月後には更に70億ドル(7700億ドル)が追加された。にも拘わらず、アルゼンチン通貨ペソは対ドル50%の下落、数百億ドルにのぼる資金の流出と、40.5%のインフレで昨年は終幕したことを取り上げた。更に、負債はGDPの77.4%を占め、2015年から2017年までに3198社が閉鎖したことも指摘している。  更に同誌はコカ・コーラ、アビアンカ航空、スーパーカルフールなどが危機予防処置法(PPC)の適用を決めたことも報じている。この処置法というのは、企業の規模によってPPCの適用できる条件は異なっているが、不況による過剰従業員を企業の資金負担を軽減させるべく通常の50%の賠償金で解雇できるというものだ。この申請から適用が昨年は108件で、一昨年を25件上回ったという。  元経済相リカルド・イポリト・ロペス・ムルフィーは早急に財政支出の改善が必要だと指摘している。財政赤字を早急に改善しないことには投資が期待できないとしている。更に同相は「北欧レベルの税金を徴収するにもかかわらず、公共サービスはカリブ海の国ハイチのレベルだ」と述べて、それが輸出競争力を失う要因にもなっていると同誌の中で指摘した。(参照:「フォーブス(Forbes)」)

止まらぬ経済悪化。インフレは以前進行中

 フォーブスが取り上げたアルゼンチン経済指標のどれを見ても経済が短期・中期に改善されることは不可能である。寧ろ、経済は悪化の方向に向かっているというのが現状だ。今年の目標インフレを政府は23%としているが、昨年40.5%であったのが、1年で20%もインフレ率を減少させることなど不可能である。実際、2月の時点で今年のインフレは28.5%を予測しているのである。これは当初の目標から既に5%上回っている。(参照:「La Nacion」)  しかも、ペソの対ドルレートは依然下落傾向にあり、今年は1ペソ48ドルを見込んでいるが、2020年は55.5ドルを予測している。これもインフレを高める要因である。だから、昨年を下回るインフレに持ってくることは至難である。通貨ペソが弱いままだと投資家にとってアルゼンチンへの投資の魅力も半減する。
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不況で企業は生産能力の半分しか稼働させず
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