現在、東京23区のうち13区で新ルートへの反対運動が立ち上がっている
それから半月経った3月8日、奈須議員は大田区の予算特別委員会で覚書について尋ねた。
「大田区と国は覚書に書かれている『運用を変える場合には協議する』に基づき協議していますか?」
これに対して、空港まちづくり課長は「今後、適切な時期に協議します」とだけ回答。また、大田区での低空飛行の実現は覚書の破棄を意味するので、奈須議員がさらに尋ねた「破棄されるなら、新しい覚書が必要になりますか?」との質問には、「繰り返しますが、協議を進めると理解しております」と抽象的に回答しただけ。
国や大田区が新ルートを実現したいのなら、「協議」をして新しい「覚書」を作成しなければならない。それにはどれだけの時間を要するのかまったくわからないが、国が足踏みすることだけは間違いない。
一つだけ言えるのは、今の大田区には、騒音問題を何とかしようとして羽田空港を沖合に移転させたときのような住民寄りの姿勢が見られないことだ。奈須議員はこう訴える。
「もし大田区長が新飛行ルート案を認めれば、区民の権利を担保している文書を破棄することになるということです」
<文・写真/樫田秀樹>