Families Belong Togetherも国境で不法移民家族の子供が親から引き離されているのを見て、彼ら家族に支援の手を差し伸べる為に昨年誕生した組織で、Al Otro Ladoなど250あるNGOを傘下に収めるような位置づけになっているとい。
結局、入国申請が許可された29人の内の一人は9か月ぶりに自分の子供と再会したそうだ。また他の11人は拘束から解放された。しかし、17人はまだ拘束されているという。
今回の件で判明したのは、彼らの多くは提出された書類の内容を把握することなく署名させられて送還されたということなのである。米国の関係当局は勿論それを否定している。
スペイン語を理解しない、或いは中米からさらに遠距離から米国に入国を試みて送還された親たちもいるという。彼らを送還するには彼らの子供を取り戻すことなく送還されることに合意する署名が必要であるが、彼らがスペイン語が理解できないために、何が書かれたものか理解することなく署名させられたということなのである。
Al Otro Ladoの調査で、彼らはスペイン語を理解しない、或いは読み書きができない親たちであるというのが判明しているという。だから実際に彼らが署名したのは子供を連れ戻すことなく送還されるという書面に署名をしているわけである。
Al Otro ladoの説明によると、彼ら全員が子供と再会するという説明を受けていたのが判明している。しかし、実際にはそのひとりは3つの選択肢を迫られたそうだ。
3つの選択肢とは、
①彼の子供に会うのにひと月半拘束される。
②子供と早く会うには別の収容所に行く。
③子供なしで送還される。
である。当人は、そこに残ってひと月半拘束されることを選択したそうだ。ところが、その翌日朝4時に説明なくグアテマラに送還されたそうだ。(参照:「
El Pais」)
親が本国に送還されて、その子供が米国内に残った場合に、親は子供の保護・養育ができなくなる。米国に子供の世話を頼める親族らがいない場合は当然そうなるだろう。
そのような事態に陥った場合、支援活動として子供を保護・養育する人もいる。その中で著名なのはこれまで1250人の子供を預かった経歴をもつニカラグア出身の女性ノラ・サンディゴである。彼女は80年代のニカラグアの内戦を経験し、米国に逃れ1996年に米国の市民となった。その後、2006年から不法移民の子供の世話をするようになったそうだ。
子供の保護養育の維持費はニーニョ・ノラ・サンディゴ基金で賄っているという。彼女の夫が園芸のビジネスで得た収入や他に協力者もいるという。勿論、無料奉仕の弁護士もいるそうだ。(参照:「
Mundo Hispanico」)
例えば、コロンビアに送還されたアンブルノはコロンビアの太平洋沿岸の都市ブガからの電話で「私は彼女に私の子供を預けた。彼女は信頼するに値する女性だという印象を受けた。間違っていなかった」と取材に答えた。
メキシコから不法移民したルシアの場合はいつ移民局から拘束されるか分からないという恐れから友人の紹介でノラ・サンディゴに11歳の娘の保護を依頼したそうだ。ルシアは「ノラはとても良い人。だから彼女にお願いにここに来ている」といつ拘束されか分からい恐れから涙ぐんで取材に答えた。(参照:「
Mundo Hispanico」)
サンディゴの説明によると、昨年だけでこれまでより40%子供の保護を求めて来る依頼が増えたそうだ。
トランプ大統領の不法移民に対して「ゼロ・トレランス(容赦なし)」の方針による悲劇に早く終止符を打ってもらいたいものだ。
<文/白石和幸>
しらいしかずゆき●スペイン在住の貿易コンサルタント。1973年にスペイン・バレンシアに留学以来、長くスペインで会社経営から現在は貿易コンサルタントに転身
しらいしかずゆき●スペイン在住の貿易コンサルタント。1973年にスペイン・バレンシアに留学以来、長くスペインで会社経営から現在は貿易コンサルタントに転身