年商100億円の企業グループオーナーは、新たなビジネスをどこから思いつくのか?

 忍び寄る恐慌を前に、果たして、金持ちたちは何に備え、資産をどこに張ろうとしているのか? 不動産、医療法人など年商100億円の企業グループオーナー、ビジネスプロデューサー。ふるさと納税の達人としても知られる金森重樹氏に話を聞いた。

社会貢献にも大きな商機にもなるGH(グループホーム)ビジネスに注目

GH

群馬県にあるGH。戸建ての造りを5人が住める仕様にコンバート

 学生時代に先物取引で1億2000万円もの借金を背負うも、不動産事業や歯科医院経営など新規ビジネスを続々と起こし、超富裕層の仲間入りを果たした金森重樹氏。そんな彼が今、最も心血を注ぐのがある国策事業だ。 「国が主導で動く“時代の流れ”にうまく乗るのは、商いがうまくいく必勝パターンの一つ。民主党政権下で売電価格が高かった頃に太陽光発電に着目し、宮古島にメガソーラーを建設したのもこの発想からです。この観点から取り組んだのが、障がい者を受け入れるグループホーム(GH)事業です。というのも、’18年4月に『障がい者総合支援法』が施行され、地域社会で支援を受けながら自立した生活を送るGHの需要が高まっています。現在、全国で200万人以上の入居希望者がいると言われる半面、施設が足りていない。社会的にも意義がある事業だと思って正面から取りかかることにしたんです」  具体的には、障がい者を受け入れる施設と彼らの就労を促す事業所が必要となる。箱となる物件は、都心部以外の戸建てを改築する。

滞納や賃料下落など不動産投資につきものの心配が少ないのも魅力

「中京や関東郊外に中古の戸建てを1500万~3000万円ほどで買い上げます。4LDKだった家を5DKに改築し、5人居住できるようにする。食事の提供や職場とGHの送迎はスタッフを雇って運営していく形です。1人当たり約25万円が介護保険料や実費分として支払われ、滞納や賃料下落といった不動産投資につきものの心配が少ないのも魅力的。今後は、障がい者の保護者の高齢化が深刻な問題に。GHは“親亡き後”の障がい者の受け皿としても機能します」  入居者は日中、就労継続支援施設で働き、夕方にGHに帰宅するのがルーティンとなる。金森氏はこの就労系事業所と連携することにも考えを巡らせている。
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独自の経済圏を目指す
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