風営法規制の中で「クラブ」はどうあるべきか? 『平成最後の緊急クラブ・サミット』レポート

 『平成最後の緊急クラブ・サミット』と題されたトークイベントが3月6日、トークライブハウス「LOFT9 Shibuya」(東京都渋谷区)で開催された。イベントには、クラブとクラブカルチャーを守る会(守る会)のメンバーや脳科学者の茂木健一郎さんが登壇。クラブはどのようにあるべきなのか、クラブの営業を規制する風営法をどのように変えていけばいいのか、熱い議論が交わされた。

風営法改正の問題点

 クラブ営業を規制する風営法(風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律)は、2016年6月に改正された。BuzzFeed Japanの神庭亮介記者は、新しい風営法をこう評価している。 「それまでは最長で25時までしか営業できなかったのに、許可を取れば翌朝5時まで営業ができるようになりました。そのため『朝まで踊れるようになった』と前向きにとらえている人が多いと思います。ただ深夜にお酒を提供する場合は『特定遊興飲食店』の許可を取らなければならなくなりました。この許可の条件が非常に厳しいんです」  特定遊興飲食店が営業できるのは、原則として1平方キロメートル内に300軒以上の店がある「繁華街」に限られている。そのせいで、渋谷の中心地から少し離れたところにあった老舗のクラブ「青山蜂」(東京都渋谷区)は2018年1月に摘発された。また客室面積が33平方メートル以上ないと特定遊興飲食店の許可が取れず、小規模なクラブは営業を続けられなくなってしまった。  そのため、守る会・会長でDJのQ’HEYさんは「許可が取れるエリアを広げ、小さな店舗でも営業できるよう規制緩和を求めていきたい」と話す。

クラブカルチャー発展のためには

 クラブやクラブカルチャーを守るためには、法律や条例の規制緩和だけでなく、クラブに来る人の裾野を広げることが必要だ。同会・副会長のDJ EMMAさんは、「18歳や19歳の多感なときにクラブに来てほしい」と話す。 「ただ未成年にお酒を出さないようにするため、成年にのみリストバンドを配布するという方法で成年と未成年を区別する必要があります。これには警察もいいと言ってくれていますので、クラブが足並みを揃えて実施していきたいと思います」  また、クラブが地域社会に受け入れられるためにも、クラブを出た客が近隣住民に迷惑を掛けないようにしなければならない。 「渋谷や六本木で、泥酔客に絡まれた住民が年間に何世帯も引っ越しているといいます。こうした事態を改善するためにも、ハードリカーについては午前3~4時で販売をやめるようなクラブ側の自主規制が必要ではないでしょうか。ショット禁止もありだと思います」
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クラブは「年齢やジェンダー、肩書きに関係なく交流できる場所」
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