あなたの「燃え尽き度」は大丈夫? 日本の労働者の心を蝕む「感情労働」の呪縛

燃え尽き度をチェックして心の疲労を測定

 さて、読者のあなたにも、バーンアウトの兆候が起きていないかチェックしていただきたい。以下のチェックシートはバーンアウトの3つの兆候のうち、どれが、どの程度進行しているかをチェックするものだ。  バーンアウトの人に現れる症状は以下の3つである。  1.情緒的消耗感  仕事を通じて情緒的に力を出し尽くし、消耗してしまった状態。情緒的資源を使い切ってしまい枯渇してしまった状態である。  2.脱人格化  情緒的資源の枯渇の先にある症状で、クライアントに対する関心や思いやりがなくなってしまっている段階である。これは、情緒的消耗をこれ以上避けるために、相手との距離感を保つために、防衛反応としてクライアントと距離感を置く行動である。  3.個人的達成感の低下  仕事の成果の急激な落ち込みと、有能感、自己肯定感、達成感の低下はバーンアウトの症状のひとつであると言える。  それでは、下記のチェック項目それぞれを5段階(1:当てはまらない→5:もっとも当てはまる)で評価していただきたい。

情:情緒的消耗感、脱:脱人格化、個:個人的達成感の低下

あなたの燃え尽き度は大丈夫?

 続いて、それぞれの点数を合計して、下記の表で自身のバーンアウト具合を評価していただきたい。  ちなみに、筆者の場合は「(情)情緒消耗感:15」「(脱)脱個人化:12」「(個)個人的達成感の減退:23」だった。情緒の消耗が若干高いが、それ以外は比較的安定しており、やる気に溢れていると言える。  前述したように、感情労働による心の疲労具合は自分でも気がつきにくい。上記のチェックで危険と判定された場合は、すぐに専門の病院に行くことをオススメする。要注意と判定された場合は、今の仕事と少し距離を取ったり、仕事は仕事割り切った役割を演じて、プライベートはプライベートの役割を演じるなどの使いわけを行うことで、感情労働によるバーンアウトの悪化を避けていただきたい。 【参考資料】 『管理される心─感情が商品になるとき』アリー・ホックシールド 『ホックシールド 「管理される心─感情が商品になるとき」』石川 准 『バーンアウト (燃え尽き症候群) -ヒューマンサービス職のストレス』久保真人 『対人援助職従事者におけるバーンアウトと感情労働の 関係性について : 事例分析を通した検討』土井裕貴 『バーンアウトの理論と実際―心理学的アプローチ』久保真人、田尾雅夫 【山本マサヤ】 心理戦略コンサルタント。MENSA会員。心理学を使って「人・企業の可能性を広げる」ためのコンサルティングやセミナーを各所で開催。これまで数百人に対して仕事やプライベートで使える心理学のテクニックについてレクチャーしてきた。また、メンタリズムという心理学とマジックを融合した心理誘導や読心術のエンターテインメントショーも行う。クラウドワークスの「トップランナー100人」、Amebaが認定する芸能人・著名インフルエンサー100人に選出。●公式ホームページ ●Twitter:@3m_masaya ●Instagram:@masaya_mentalist
心理戦略コンサルタント。著書に『トップ2%の天才が使っている「人を操る」最強の心理術』がある。MENSA会員。心理学を使って「人・企業の可能性を広げる」ためのコンサルティングやセミナーを各所で開催中。
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