失敗ばかりする自分が嫌で仕方ない――【石原壮一郎の名言に訊け】~アインシュタインの巻~
2015.01.14
Q:最近、何をやってもうまくいきません。仕事でも簡単なミスを何度もやらかしたり、不用意なひと言で友達と気まずくなったり、飲み過ぎて落し物をしたり……。「こんなことじゃいけない」と反省はするのですが、またすぐに失敗を繰り返してしまいます。自分が嫌で仕方ありません。毎日、ダメな自分を責め続けています。けっこう辛いです。どうすれば失敗しないようになれるんでしょうか。(埼玉県・25歳・営業)
A:なんだか、負のスパイラルに入っちゃってますね。失敗しないようになる方法があるのかどうかはわかりませんが、ちょうど隣りに、いくつも会社をつぶしているくせにお気楽そうに生きている友達のヒデ君がいるので、聞いてみましょう。
「失敗ぐらいでいちいちめげてたら、俺なんて体がいくつあっても足りないよ。やっちゃった失敗は、気にしたってしょうがないじゃん。だいたい、自分を責めてなんかいいことあるの? そんなに熱心に自分を責めてるから、何度も失敗するんだよ。ほら、いつもビクビクしてたら伸び伸びやれないし、あと、責めるのが癖になるってのもあるからね。
アインシュタイン知ってる? 相対性理論の人。あの人が、こんなこと言ったらしいよ。
【どうして自分を責めるんですか? 他人がちゃんと必要なときに責めてくれるんだから、いいじゃないですか】
開き直ってるわけじゃないよ。自分を責めても疲れるだけで誰も嬉しくないよね。嬉しいとしたら、責めることでなんか頑張ってるような気になれる自分だけだよね。だいたい、失敗したときにいつまでも謝ってるヤツって、うっとうしいじゃん。てめえが安心したいからって、こっちに「もういいから」って何度も言わせる手間をかけるなっての。一回ちゃんと謝ったら、あとは黙って、今できることをやればいいんだよ。
あんたの相談も、いつまでも謝ってるヤツと同じニオイがするんだよね。「自分が嫌で仕方ない」と自分を責めて、結局は自分を甘やかそうとしてるでしょ。失敗しないようになりたいって相談だっけ。だったら、まずは自分を責めるのをやめることだね。責めるヒマがあったら、なぜ失敗したかや、現時点でどうやって失敗をカバーできるかを考えなよ。
「蝶はモグラではない。でも、そのことを残念がる蝶はいない」――。これもアインシュタインが言ったらしいよ。モグラだって、蝶をうらやましがったりしない。自分が蝶だろうとモグラだろうと芋虫だろうと、自分にできることを一生懸命やるしかないし、やればどうにかなるんだよ。自分が嫌だとか何だとか言って遊んでるヒマはないよ。」
失敗したときは、誰しも自分を責めたくなります。しかし、責めすぎには注意したいところ。具体的に反省したり繰り返さない対策を練ったりしていなくても、自分を責めることで「ちゃんと受け止めている」ような気になれます。自分を責めるのは、ある意味、もっとも手っ取り早い言い訳。それを自覚して、つい熱中したくなる自分を戒めましょう。
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いしはら・そういちろう/フリーライター、コラムニスト。1963年三重県生まれ。月刊誌の編集者を経て、1993年に『大人養成講座』(扶桑社)でデビュー。以来、さまざまなメディアで活躍し、日本の大人シーンを牽引している。『大人力検定』(文春文庫PLUS)、『大人の当たり前メソッド』(成美文庫)など著書多数。近年は地元の名物である伊勢うどんを精力的に応援。2013年には「伊勢うどん大使」に就任し、世界初の伊勢うどん本『食べるパワースポット[伊勢うどん]全国制覇への道』(扶桑社)も上梓。最新刊は、定番の悩みにさまざまな賢人が答える画期的な一冊『日本人の人生相談』(ワニブックス)
【今回の大人メソッド】自分を責めるのは、手っ取り早い言い訳でもある
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