「一生懸命話せば話すほど相手が引いてしまう」。原因はアイコンタクトにあった

コアスキルはアイコンタクトの長さ

 筆者はビジネススキルを高めるために、2人一組のペアを組んでもらい、パートナーに仕事の説明や商品の説明などをする演習を行なっている。説明する側はその様子をスマホで自撮りして、後でその自撮り動画を確認し、自分のビジネススキルをさらに向上させるという方法だ。  相手が引いているように思えた人に、自分の話しぶりの動画を確認してもらうと、共通の特徴があることがわかった。それは、相手を見つめ続けているということだ。  一生懸命話していて、そのうちに我を忘れて話し続けてしまう。そして、話している間、10秒も15秒も、相手を見つめ続けているのだ。その動画を他ならぬ自分が観て、聞き手の立場になった場合、どのような印象を受けるだろう? そんな質問をすると、「圧迫感がある」「押しつけがましい」「焦っているように見える」という回答が返ってくる。  自分では押しつけているつもりはないのに、単に一生懸命になっているだけなのに、相手に圧迫感を与えていることに気づくのだ。そうなってしまうのには、話が途切れない、一方的に話している、相手を見続けているからなどの、さまざまな原因がある。  筆者は、それらの原因うち、何から解決すると、他のことが解決しやすくなるか、さまざまな演習をしてきた。その結果、相手を見つめ続ける長さを短くすると、目をそらしたときに間(ま)ができて双方向で話がしやすくなり、話すセンテンスが短くなることがわかってきた。このようにスキルを分解して捉えてみると、アイコンタクトの長さを短くするということは、他のスキルを高めるためのコアスキルであることがわかる。  では、いったい、何秒でアイコンタクトを外せばよいのだろうか。私はその答えを、ビジネスパーソンがどう思うかということに求めている。私の演習に参加したビジネスパーソンに聞くと、引きつけられやすい、好感を持つアイコンタクトの秒数は2、3秒だと答える人が最も多い。そのため、2、3秒でアイコンタクトを外すという演習をしている。それを15分も反復演習すると、体でそのスキルが身についてくる。  アイコンタクトを外すというスキルは、とても単純な動作だ。しかし、その単純な動作ができていない人は実に多い。それが原因で、せっかくいい話をしても、自分ではそんなつもりはないのに、相手が引いてしまうという結果になってしまうのだ。 質問:我を忘れて話をしてしまう  話に一生懸命になると、我を忘れて話をしてしまいます。ときどき、ふと気づくと、相手が引いていると思うことがあります。どうすれば、冷静に話ができるでしょうか? 回答:2、3秒で視線を外す  相手が引いているのは、相手を見つめ続けているときがほとんどです。日本のビジネスパーソンは2、3秒のアイコンタクトが心地いいと思う人が多いので、2、3秒で視線を外すことを心がけるとよいでしょう。  長年一緒に仕事をしてきた気心の知れた間柄では、5、6秒のアイコンタクトが心いいという答えが返ってきます。初対面の相手であれば短めのアイコンタクト、親密な相手であれば長めのアイコンタクトでも違和感を与えないということが言えます。 【山口博[連載コラム・分解スキル・反復演習が人生を変える]第125回】 【山口 博(やまぐち・ひろし)】グローバルトレーニングトレーナー。モチベーションファクター株式会社代表取締役。国内外企業の人材開発・人事部長歴任後、PwC/KPMGコンサルティング各ディレクターを経て、現職。近著に『チームを動かすファシリテーションのドリル』(扶桑社、2016年3月)、『クライアントを惹き付けるモチベーションファクター・トレーニング』(きんざい、2017年8月)がある
(やまぐち・ひろし) モチベーションファクター株式会社代表取締役。国内外企業の人材開発・人事部長歴任後、PwC/KPMGコンサルティング各ディレクターを経て、現職。近著に『チームを動かすファシリテーションのドリル』(扶桑社新書)、『クライアントを惹き付けるモチベーションファクター・トレーニング』(きんざい)、『99%の人が気づいていないビジネス力アップの基本100』(講談社+α新書)、『ビジネススキル急上昇日めくりドリル』(扶桑社)がある
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