工期長期化で「普天間飛行場の危険除去」は13年間先送り!?
2月25日、官邸前の集会では多くの人々が辺野古基地の建設中止を訴えた
NHKの「日曜討論」(1月6日放送)で「土砂を投入する埋立区域でのサンゴ移植はゼロ」と発言した安倍首相と同様、菅官房長官も事実と異なる発言をした疑いがある。
菅官房長官の「一般的で豊富な実績のある地盤改良工事」といった発言を聞くと、簡単な工事で予定通りの完成が確実かのような印象を受けるが、「実際は、過去の実績さえない前代未聞の難工事です」と北上田氏は語る。
「簡単な地盤改良工事であるはずはなく、実際は(防衛省は)途方に暮れているでしょう。焦っていることは間違いない。破綻は明白です。(国会審議で)安倍首相も『総工期や総工費がどれぐらいかかるのかは一切分からない』と言っています。
私は土木の技術屋として三十数年間も公共土木工事をやってきましたが、工期や工費がどれぐらいかかるのかを明らかにしない工事も、お金を無尽蔵にかけていい公共事業もあり得ません」(北上田氏)
沖縄県は独自試算で「工事費は2兆5500億円、工期は13年」と見積もったが、これは防衛省の追加地盤調査結果(海面下90メートルの軟弱地盤)が公表される前の試算で、この数字よりも工事費が膨れて工期が長くなるのは確実だ。
菅官房長官は「世界一危険な普天間飛行場の危険除去」を訴えるが、その実態は「普天間飛行場の危険除去を13年以上先送り(=実質的な固定化)」することに他ならないといえる。工費も工期も具体的に示せない安倍政権の主張に、説得力はまったくない。
<取材・文・撮影/横田一>
ジャーナリスト。小泉純一郎元首相の「原発ゼロ」に関する発言をまとめた
『黙って寝てはいられない』(小泉純一郎/談、吉原毅/編)に編集協力。その他
『検証・小池都政』(緑風出版)など著書多数